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第9話

男性・久保田慧さん

「あ、久保田さんっていう人だったような」

 私はすぐに車いすに乗り、久保田さんに会おうと急いでナースステーションに行こうとした。

すると、母さんは、なにしてんの?
と心配そうに私に尋ねてきた。

「…ゴメン、ちょっと行ってくる」

 私は何も言わずに車いすを使って、ナースステーションに行こうとした。
 
すると、私の食事を持ってきてくれた准看護師の方が私に気づいて声を掛けてきた。

「……花野さん。どこ行くの。まだ、昼も食べていないのに」

「…ちょっと」

 私は一言だけ言い放ち、また車いすを両手で動かした。

 まだ、准看護師の方が私の後ろに付いて、どこ行くの? どこ行くか教えてもらえたら手伝うよ と言って私に話しかけてきた。

 無視して車いすを動かしていると、聞いた声が私の目の前にいた。
「……久保田さん」

 私の目の前に、久保田さんがいた。戸惑いながら久保田さんの声がした。

「…花野さん。どうしたんですか」

 責めることもなく、怒ることもなく。
 いつもと同じ声で私に話しかけてくれた。

 それが嬉しくて、顔がにやけそうだった。

「…えーと、久保田さんに礼を言いたくて」

 車いすを動かしていた両手が汗ばみ、緊張をしていた。下に俯き、久保田さんの目を見れなかった。

「…そうでしたか。ありがとうございます。花野さんが私に礼を言いたくて行動してくれたことに嬉しいです。でもね、花野さんはまだ本調子じゃないんだ。だから、こういう行動は控えるようにね」

 久保田さんは私の目線と同じくするために、膝を屈んで、私を見て話してくれた。
 嬉しい。嬉しいのに、なんでこんな悲しいんだろう。

 私は地味で冴えなくて、本を読む以外、何も取柄がない。

胸元まである長い黒髪で、目が細くて、体型は太っていなく、細くない。普通の体型なのだ。