前の話
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マネージャーとの連絡を終えて、私は自分の席へと戻った。
私、朝比奈杏恋。高校2年生。
有名雑誌の専属モデルとして活躍している。
こっちのふわふわしてるのは真梨奈で、しっかりしてそうなのは遥。
二人とも同じクラスで、私の数少ない友達の中の1人だ。
遥と真梨奈がこくん、と頷いて教科書やノートをまとめるのを手伝ってくれた。
カバンの準備を終えると遥が周りを確認してこう伝えてきた。
私はびっくりして飲もうと思っていたお茶を吹き出しそうになった。
真梨奈もびっくりしたようで、え?え?となっていた。
遥と真梨奈と私は一斉に一条の方を見た。
さすがの一条も気づいたようで、私と目が合うと戸惑った顔で微笑んできた。
遥は私の方に目を向けた。
真梨奈も私の方に目を向けてうんうん!と大きく頷いた。
さっきから話に出ている一条は、普段は本ばっかり読んでいて大人しいタイプの男の子だ。
しかしそんなのとは裏腹に、凄い上手なテニスプレイヤーで参加する大会の殆どのトロフィーをかっさらっていってしまうくらい強い。
他校ではファンクラブもあるんじゃないかと思ってしまうくらい、一条のことが好きな子が多い。
ーーあれは高校に入ってすぐの頃だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。