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第1話

Secret 1
35
2018/01/27 08:24
杏恋
…はい、分かりました。
今日の14時から都内のスタジオで、ですね。
了解しました。ありがとうございます。
マネージャーとの連絡を終えて、私は自分の席へと戻った。
私、朝比奈杏恋。高校2年生。
有名雑誌の専属モデルとして活躍している。
真梨奈
杏恋~!もう電話終わったのー?
もしかして、午後仕事入った?
杏恋
遥、正解。
14時から都内のスタジオだって。
こっちのふわふわしてるのは真梨奈で、しっかりしてそうなのは遥。
二人とも同じクラスで、私の数少ない友達の中の1人だ。
真梨奈
そっかぁ…
じゃあもうそろそろここ出る~?
杏恋
んー…そうだね。
カバン準備しなくちゃ。
あ、手伝うよ。
真梨奈
私も~!
杏恋
本当?
二人ともありがとう。
遥と真梨奈がこくん、と頷いて教科書やノートをまとめるのを手伝ってくれた。
カバンの準備を終えると遥が周りを確認してこう伝えてきた。
一条くん、この間の試合のときに他校の子何人かに告白されてたよ。
私はびっくりして飲もうと思っていたお茶を吹き出しそうになった。
真梨奈もびっくりしたようで、え?え?となっていた。
真梨奈
そうなの?知らなかった…
一条くんってモテるのかな?
さぁ…?
普段はあんな感じだって、みんな知らないからなぁ…
遥と真梨奈と私は一斉に一条の方を見た。
さすがの一条も気づいたようで、私と目が合うと戸惑った顔で微笑んできた。
遥は私の方に目を向けた。
ねぇ…本当に良いの?
伝えなくて。
真梨奈も私の方に目を向けてうんうん!と大きく頷いた。
真梨奈
一条くんとまた同じクラスになれるとは限らないよ…?
杏恋
う…分かってるけどさぁ…
さっきから話に出ている一条は、普段は本ばっかり読んでいて大人しいタイプの男の子だ。
しかしそんなのとは裏腹に、凄い上手なテニスプレイヤーで参加する大会の殆どのトロフィーをかっさらっていってしまうくらい強い。
他校ではファンクラブもあるんじゃないかと思ってしまうくらい、一条のことが好きな子が多い。
杏恋
でも…どう伝えたらいいかとか…分かんないし…
そんなの、来週バレンタインでしょ?
本命渡しに行けばいいんじゃないかなぁ。
真梨奈
そうだよ〜!
…ていうか、なんで杏恋は一条くんのこと好きになったの?
やっぱりテニスしてる姿?
杏恋
いや…全然そんなんじゃなくて…
ーーあれは高校に入ってすぐの頃だった。

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