不思議な女の人が現れ数日。
何も変わった事はない。
こいつのお菓子に毒でも入れてやろうか…
その時だった。
ドゴォォォン
とてつもない雷が落ちた。
運悪く雷が落ちたのは家の近くだったらしい。
そう言いながらカーテンを開け、空を見た私達は絶句した。
ここに来て1ヶ月ほど経ったが、この世界は雨が降っている時でも、光の魔力の影響で空が暗くなることはない。
だが今はどす黒い黒い雲に覆われ、光は一切ない。
こういうところは頼りになるんだよなー……
って、今はそんな事どうでもいいんだって!!
あまりの急展開に頭が全く追いつかない。
不安と恐怖でどうにかなってしまいそうだ。
そんな私を見て、レオルはそっと私の手を握ってくれる。
私の手を握ったまま、レオルはじっと外を見ている。
外を見つめたまま、レオルが言う。
ああ、また振り出しだ……
ようやく少しずつこの世界のことが分かってきたのに、また、何も分からない所から始めなきゃいけないんだ……
そう思ったその時だ
叫び声と共に、レオルが開けていた窓から2つの人影が飛び込んできた。
そう言って立ち上がった2人は私たちと同じぐらいの年齢だろう。
ひとりは茶髪の男の子。
もうひとりは金髪の女の子。
カイリとリンカは仲が良いんだなぁー、と思わず私もにやけてしまう。
そんな事を考えていると、
レオルが肘で私を小突いてきた。
私はふと思った。
この素晴らしい……かもしれない出会い。
捨てる神あれば拾う神ありって、本当なんだなぁ……
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。