はぁ……さっきは散々な目にあった。
確かにイケメンで、かっこよかった。
女の子たちが惚れ込むのもよく分かる。
アイツは僕と一緒の赤ネクタイだったから……1年か
僕は逆の意味ですごい認知されているけど。
嫌なことも全部吹っ飛ぶすごい力。
僕にとっての“魔法”みたいな物。
楽しみに身を馳せていると、後ろから声をかけられた
巻屋 めい(まきや めい)。彼女は僕の幼なじみ。
元気で、誰にでも優しい、空気も読める。
ずっと前から僕の事を知っている。
あの日の事が、脳裏によぎる。
ー本当に思い出したくない記憶。
めいは、僕の事をなんでも知っている。
故に思い出したくない事だって思い出させる。
元気よく手を振るめい。
ー僕を気遣ってくれる馬鹿みたいにいい子。
誰にでも優しくて、いつでも明るい。
学校でめいを狙ってる子が多い事も知ってる。
だからこそ僕が話しかけに行ったらどうなることやら…
めいは、昔の僕に戻って欲しいんだろう。
刻み込まれた『不幸』は心に根を張り、定着する。
ー本来の僕を握りつぶしていく。
戻りたくても、戻れないから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。