そう言って、頭を撫でて涙を拭ってくれたりほ先輩の手はとても優しかった
そんな温もりに、安心した
自然と笑顔になれたんだろう
優しい温もりに包まれたから
少しムッとしながら笑うりほ先輩は、会社で知らない別人だった
___こんな表情するんだ、そう心の中で思ったら伝えたくなった
____グー
ちょっと大きめなお腹の音が響いた
顔を見合わせて笑う
見事に冷蔵庫はお酒やおつまみばっかりだった
開けた扉を閉めて、2人して笑った
少し呆れてしまったけど、愛おしく思えた
サッと離れた唇
そして起き上がるりほ先輩の身体
そう言ってパタパタとスリッパの音を響かせリビングを離れるりほ先輩
両耳が熱い
テーブルにあった自分の携帯で、自分の顔を確認すると
パタパタとまたリビングに戻ってきたりほ先輩に少し意地悪
___のこった口紅を、りほ先輩の唇に1つ落とした
好きと呟いてから
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。