無言になったのを誤魔化す様に、少し苦手なビールを二口飲んだ
なんでバレたんだろう、なんて思いながらも、不味そうにしちゃったかな?なんて少し考えた
同じものを飲みたくて必死だったと思う
残ってるビールをグイッと飲んだ
心地よい声と温かさ、甘い香りに包まれ私は目をさました
思い出そうとすると、ズキンと痛む頭
キョロキョロ見渡し見慣れない部屋に私の顔色はサーッと冷めていくのが分かった
土下座する勢いで、体を起こすと
渡されたペットボトルに口を付け飲みながらりほ先輩を見ると、会社で束ねてた髪の毛はおろされていて、見慣れたスーツから大きめなスエットに着替えられていた
そう言いながら、色違いのスエットを渡された
恋人は居なくても、きっとここに来る人は居るんだろう
そう考えると、チクッと胸が痛む
我ながら、大人気ないと思った
でも、嫌だった
言ってて悲しくなった
どうした、私
落ち着け、私
初めての感情で、なにがなんだか分からなかった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。