大きな目をくりくりしながら、キョトンとした表情で俺を真っ直ぐ見つめる顔が、なんとも言えない。
かわいすぎる⋯⋯。
丁寧にクラスまで教えた。確実に覚えてもらうために。
同級生だということが分かり、俺は
といった。
あなたっつーのか。ふんわりとした雰囲気にピッタリの名前だ。だけどA組って⋯⋯頭いいんだ。
うちの学校はA組からF組まであって、成績順でクラスが決まる。
F組はテストなんてどうでもいいと思ってるヤツらばかりだ。
俺もその中の一人。高校に入ってからノートとか取ったことねぇ。
それに比べてあなたは⋯⋯かわいいうえに賢いのか。
こりゃモテるだろうな⋯⋯。
俺、何変なこと聞いてんだよ。もっと違う質問すればいいのに。
コイツ、分かったわ。自分がかわいいという自覚がない。
ふふっ、と笑いながらあなたは言った。
あーくそっ。笑う顔もかわいいな。
それにしても、「世界が終わっちゃう」って⋯⋯逆にお前がモテない方が世界が終わっちゃいますよ。
つか、コイツ絶対に天然だな。
見た目はほんわかしてるし、あなたを一言で表すなら"癒し系"だ。
そんな彼女が、無性にかわいかった。
俺は質問を変えた。
1週間に1回告られればモテるほうだろ。
なんて考えは甘かった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!