そして、ちょうどF組の前を通りかかった時だった。
急に後ろからものすごい勢いで腕を掴まれた。
な、な、な⋯⋯!
驚いてバッと後ろを振り返る。
そこに立っていたのは、なんだか不機嫌そうな顔をしているテヒョンくんだった。
あたしが呼んでもテヒョンくんは何も答えてくれない。
もういちど、名前を口にしようとしたら、テヒョンくんはあたしの腕をグイッと引っ張って走り出し、A組の教室も通り過ぎてしまった。
後ろからぐぅちゃんの声が聞こえる。
へっ? いったい、どこに行くの!?
あたしは何が何だか分からないまま、ただテヒョンくんに腕を引かれて走ることしか出来なかった。
━━━━━ガラッ!
到着したのは使われていない教室。
初めて入った⋯⋯って、そんなこと考えてる場合じゃなかった。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。