第66話

勝負の時間-2時間目-
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2026/01/28 08:56 更新
〈side死神〉


 臨戦体制に入る天城あなたを眺めつつもナイフを構える。

 …にしても、笑いを抑えることに必死だ。あの馬鹿女、本気で受け取りやがったぜ…あの『拳銃』を。あの拳銃には弾を込めていない。トリガーを引いても中身が出てこないことに戸惑うその隙を狙って一撃を加える…それが作戦だ。あの女の術式でどうにかなる可能性があるか考えたが…本人が一般人への術式使用を拒んでいる。よって術式で弾の生成もないといえる。


死神)(馬鹿め、こっちは真面目に闘う気なんてねーんだよ、笑)


 あぁ、まんまと騙されたことに気づいたこの女はどんな顔をするんだろうか…。焦り、放心、絶望…考えるだけで胸が踊る。


 先手を打つ。ナイフは近距離戦闘向き、拳銃で撃たれる可能性は僕が消したから何も怖くない。

 飛びかかってきた僕に驚きの顔を見せた女は慌てて銃を構える。そりゃそうだろう、いくらなんでも側から見れば僕の攻撃は捨て身のようなものだ。

死神)(さぁ、撃て。撃ってみろ!そして僕の目の前で、敗北の顔を見せろ!)


 パンッ!


 銃声が響く。天城あなたの顔は…


死神)(わ、笑っている、?!どういうことだ、なんで、!)


 余裕そうな笑みを浮かべた瞬間、右手の親指が飛ばされた。


死神)「うっ、!?!?」


 銃の反動で手からナイフが離れる。受け身で着地すると親指のあった部位からどくどくと血が溢れる。


天城)「勝負あり、ね」


 トリガー部に人差し指を差し込んでくるくると回しながら、天城あなたが近づいてきた。
〈sideあなた〉


死神)「勝負はナシだ、!お前はルールを破ったんだからな!一般人に術式は使ったらダメなんじゃなかったのか、!?」


 …そう、私は術式を使った。死神から得た武器…それはかつて術式で生み出したことのあった拳銃であった。物質の質量や密度までを正確に構築する術式のため、私は周りの人より目分量で重さを量る能力に長けていた。だから、貰った時に気づいた。コイツは私と闘う気などない、最初から私を嵌めるつもりだと。
 ならどうするか、術式を使うに決まっている。あえて拳銃のことを伝えて取り替えてもらうことも考えたが、奇襲を成功させるなら寧ろ、この作戦を利用する他ないという結論に行き着いた。死神はさぞかし油断していたに違いない。きっと私が術式を使う可能性を考えてなくて、反応に遅れたことが決定打だ。


天城)「『呪術師は呪術、呪霊および呪物を用いて非術師に危害を加えてはならない。また、脅威を看過して非術師に危害を及ぼしてはならない。ただし、自身や他人の生命を守るためやむを得ない場合はその限りではない。』…これが『呪術規定9.非術師の保護』の全文よ。今の私は護衛任務で、28人の生徒の命を守る使命がある。彼らを守るためなら呪術規定の例外に当てはまる。貴方たちに協力していた裏切者はそんなことも伝えてなかったのね。非術師は術師に勝てない…お前の負けだよ、死神」


 合図を出して私は渚くんたちに事前に生み出していたロープで死神を縛らせる。


天城)「あぁ、『縛り』を課してるから彼らに向かって無駄な攻撃はよしたほうがいいわ。貴方が死なない程度に殺されるよ笑」

死神)「この、クソアマ…!舐めやがって…!」

天城)「姑息な手段を取った挙句にこんなザマになった馬鹿男に言われたくないわね」


 私はロープに手を触れる。私以上の実力者以外にこの縄を解かせないように術式効果を高めておいたのだ。身動きが取れないことを確認して私は死神に問う。


天城)「それじゃあ、答えてもらいましょうか…ビッチ先生は今、どこにいるの?」

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