第64話

不協和音の時間
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2026/01/19 11:14 更新
〈sideあなた〉


岡野)「んじゃ、早速スクランブル交差点行く?」


 時刻は午後6時半をもうすぐで迎える。


天城)「あ、そうだ…みんな。その前に用事済ませちゃってもいいかな?」

磯貝)「用事?何かあるのか?」

天城)「うん、花屋に少しね」


 マップで事前に送られた店の場所を調べて、歩く。


天城)「えっと…この建物の…地下2階…」

前原)「花屋に用事って、誰かに渡す予定でもあんのか?」

天城)「ううん、違うよ。ほら、ビッチ先生に手渡した花束があったでしょ?支払い期限が今日までだったみたいでさ。本当は全員で割り勘するつもりだったはずなんだけど、集金するの忘れててね」

片岡)「あら、そうだったのね。今度じゃあ天城さんに渡さなきゃ」


 エレベーターに乗り込み地下2階のボタンを押す。

 扉が閉まる時、1人が口を開いた。


潮田)「天城さん…それ、本当に言ってる、?」

天城)「ん?」

潮田)「僕たち…その場で払ったと思うんだけど、」

天城)「…………え、?」


 渚くんの言葉を脳内で噛み砕き終える頃、エレベーターは地下2階に着いた。


片岡)「渚、それほんと、?」

潮田)「うん…だよね、茅野」

茅野)「うん…」

赤羽)「あなたちゃん、それってさ…電話とかで来たってこと?」

天城)「うん、そうだよ…あれ、何で私の電話番号知ってるの、?」


 教えた覚えなんてないはずなのに。一気に言葉に表せない不安が広がる。普段使いのスマホと、任務用のスマホ、2つを使ってるけど今回電話してきたのは…任務用のスマホ。仮に花屋の人に教えるとしても、普段使いの電話番号を私なら真っ先に選ぶはずだ。何で?どうして?

 ひとつ、またひとつと不可解な要素が増えて、脳内が不協和音を聞いた時のような、言いようのない不安感に苛まれる。


花屋)「天城さんかな?お友達も連れてきてくれてるみたいだね」


 普段ならありえない薄暗さの地下2階。その声と気配は突然に現れた。


天城)「っ、…何で私の電話番号を知ってるの…その番号は、術師しか知らないはず。非術師のあなたがどうして…」

花屋)「あれ?そうだったんだ?どうしてだと思う?」

天城)「どうしてって…」


 本能が頭の中で警鐘を鳴らす。何がとは言えないが、彼はまずい。逃げろ、そう伝えてくる。なのに、この人から目を離せない。正確に言えば、離してしまったら命が危険に脅かされる気がして。


花屋)「答えは簡単です。呪術高専に、『裏切り者』がいたから」

前原)「裏切り者、!?」

岡野)「そんな、何で!」

天城)「貴方…術師じゃないでしょ、?高専の誰かと貴方が組むメリットがない、揺さぶりをかけるつもりなら無駄よ」

花屋)「不正解です、天城さん。と言っても、彼とは同じグループにいたというだけ。『上司』の命令通り動いたまでですよ」

磯貝)「上司?」


 高専に裏切り者…悟の言った通りだ。でも一体誰が、どうして非術師の彼に?頭の違和感を払拭できない中、茅野さんが切り込む。

茅野)「そんなことより、ビッチ先生は…?」

花屋)「安心してください、殺してはいませんよ」

全員)「!?」

花屋)「イリーナは君たちにとって大切な存在だね?そんな彼女がある日消えたら君たちは動揺して探すことだろう。しかし心当たりがなかったのかな?なかなか君たちが捜索する様子を見ることはできなかった。だから新たに今日、天城さんを拐う算段だったんです」

天城)「非術師の貴方に私が負けるとでも?…驕るのはいい加減にしてほしいんだけど」

花屋)「不正解です、天城さん。君は大きな勘違いをしている。僕はただの花屋じゃありませんよ」


 ビリビリっと顔を剥がしてゆく。剥がれた皮膚から赤い薔薇のような花弁が鮮やかに舞う。それは何かのパフォーマンスを見ている気分になった。しかし、花弁が床に着き顔の筋肉と骨が露わになる様子に、絶句する。


赤羽)「にん、げん…、?」

死神)「残念、不正解です赤羽くん。僕は死神、殺し屋です」
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