死柄木side
朝、いつもと同じ。代わり映えのない朝が、また俺を新しい日へと連れ込んだ。
忙しなく進む日々を見ていると、どうにか時間を止められないものかと考える。
考えながら俺は、黒霧達の居る筈のBARになっている部屋へと向かう。
途中、俺が恋(?)というものをしているらしいあなたの部屋に寄って。
前言撤回。
変わらない日々は訪れなかった。
あなたが壁に寄りかかって寝ていた。
所謂、人形座りをして。
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人形座りとは↑この様に、膝の関節と足のつま先を付けて座る事。
フランス人形の様な座り方。
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でも、そうじゃ無かった。
中々起きねーから肩を揺する。
あなたじゃない。
肌の質感が、まるで陶器だ。
そういえばさっきから瞬きを1度もしていない。
気になって目を覗き込むと、一切光を持っていなかった。
どこを触っても、何をしても、微動だにしない。
その時俺は確信した。
あなたは人形になっている。と。
急いで荼毘やトガ、黒霧達の居るフロアへ向かい、連合のメンバーを呼びに行った。
.*・゚ BARになっている部屋 .゚・*.
急いで走った所為で息が上がって喋り辛さを感じる。
肩で息をしながら答える。
連合の皆で一斉に実験室へと向かう。
他の奴らはまだ信じてないが、本当に緊急事態だ。
ガチャリ
俺が寝ぼけていると思っている荼毘があなたの顔を覗き込む。
瞬間、驚いて後ずさる。
荼毘はドッキリか何かだと思っている。
きっと、いや。多分確実に。
信じたくないのだと解った。
続いてトガもあなたに近付く。
涙声になりながら必死にあなたの肩を揺する。
そうして、長い長い時間が経った。
本当は、1~2時間程度なのだろうけど
待つ時間が嫌に長く感じて10時間以上が経っているようにすら感じていた。
意識がぼんやりしてくる。
頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになる。
それと同時に、あなたが動いている。
と、安心する。
良かった。
本当に良かった。
俺はあなたをギュッと抱き締めた。
コクリ。
と頷くとあなたは優しく背中を摩ってくれた。
あなたが居なくなるなんて嫌だ。
俺は恐怖心に溺れそうになり、より一層強く抱き締めた。
堀酸あなた。
俺はお前が、大好きで大好きで仕方がない。
【目覚める明日に君が居なくとも】
END
作者の叶実です。
皆さんにお願いが御座います。
【日記】のチャプター6、
A past story
を読んでください。
命を救う方法として、書きました。
どうか宜しくお願い致します。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。