俺が部屋のインターホンを押そうとしたとき、中から声が聞こえた。
俺は扉に耳をつけ、息を潜める。
大西 俺はな、大ちゃんがすきやねん。ちょっと恥ずかしくなって恭平に逃げたりしたこともあったけど、。
そっっっっっっっっっかぁ。
告白しちゃったかぁ。
俺は大西畑の部屋の前でしゃがみこむ。
やっぱりよな。俺はわかってた。
わかってたんよ。
流星くんが大吾くんのことすきっていうのも、ちょろっと聞いたりしてたし、大吾くんが流星くんのことすきなのなんて暗黙の了解レベルでメンバーの中では伝わってた。
わかっててんけどなぁ、、、
すきになっちゃったんよなぁ、、、、、 笑
逃げ場やったんか、、、、、、、、、、、
うん。そうよな、そうなんよ。
わかってた。
でも流星くんのことが頭から離れんくて、
自分で諦めろって言い聞かせながらも
諦められない自分がいて。
流星くんにかまってもらえるようにゲームをあげたりした。
それを教えながら余計に好きなっちゃって。
もう少しだけ、一緒にいてほしい、
もう少しだけ、隣にいたいって。
もう一回すきって言われたいって。
欲張りすぎちゃったかな。
でも、
ずっと流星くんの横にいたいっていう
その願いを叶えること、
ただそれだけが、
一番難しかった。
俯瞰でみれている自分に悲しくなったのか、
失恋したっていうのに悲しくなったのか、
気持ちを伝えず流星くんを傷つけなくていいっていうのに安堵したのか。
どれかわからないけど、涙が零れた。
俺は静かに零した涙を拭いて、
大西畑の部屋の前からどいた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。