第17話

教えて
802
2023/05/26 02:40
ウジ side_______________



(なまえ)
あなた
ウジ、おいで。


晴れの日。
あなたに手を引っ張られて、外へ出た。


いつもは「散歩しよっか」と言うはず。
でも今日はそんな言葉は言わなかった。


今日は、散歩じゃない。





白い服を身にまとわされ、暖かい日差しの中を歩く。


今日も、あなたは遠い目をしていた。


(なまえ)
あなた
ウジ、しばらく散歩は行けなくなるかも。
そう言われて、俺は無い心が少し引っかかった。
WOOZI
WOOZI
なんで。
(なまえ)
あなた
外に行けなくなるから。
WOOZI
WOOZI
なんで。
(なまえ)
あなた
………………これ以上は、ちょっと、言えないんだ。ごめんね。


あなたは俺に笑みを向けた。しかし、その笑みはいつもの暖かい笑みじゃなかった。
(なまえ)
あなた
今のうちに、この景色をじっくり見ていこうか。ゆっくり向かえばいいから。




(なまえ)
あなた
…………行かないと、ダメだから…。
あなたは小さな声で、呟いた。






着いた先は、大きな白い建物だった。

中に入っても白が続く。歩いてくる人間も白い服を身にまとっている。


俺はあなたの手をキュッと握り返した。
(なまえ)
あなた
…………。
静かに顔を向けたあなたは、少し目を見開いていた。
(なまえ)
あなた
どうしたの?
WOOZI
WOOZI
どこ行くの。
(なまえ)
あなた
…………………………ウジの新しい家だよ。
新しい、家。
そう言ったあなたは眉をひそめて俯いた。

どこか具合でも悪いのか。



そう思ったけど、違うような気がした。
あなたの目からポタポタと雫が落ちるのを見たから。




なんで、泣いてるの。
WOOZI
WOOZI
あなた。
名前を呼んでも、肩を震わせて鼻を啜ってばかりでこっちを見ない。いつもは返事をしてこっちを見るのに。
WOOZI
WOOZI
あなた。
(なまえ)
あなた
…………っ。
WOOZI
WOOZI
あなた。


こっちを見るまでずっと呼び続ける。
(なまえ)
あなた
……ッ、ごめんね……っ。ごめんね、ウジ……っ。


なんで。
WOOZI
WOOZI
なんで泣いてるの。なんで謝るの。


教えて。


教えて。
(なまえ)
あなた
……っ、悲しいからだよ、ウジ。
でも、ウジはよくわかんないよね。
WOOZI
WOOZI
…………。悲しいって、なに。
(なまえ)
あなた
胸がね、締めつけられて、苦しくて、涙が出そうになることだよっ。
必死に手で涙を拭うあなたを俺はじっと見つめた。
WOOZI
WOOZI
なんで。




なんで。
どうして。
悲しいの。



WOOZI
WOOZI
なんで悲しいの。
(なまえ)
あなた
っ、ぁえなくっ、なるかも……っ、しれなぃからっ……。



会えなく、なる。



かもしれない。




ただの予想なのに、決まったことじゃないはずなのに。
少し胸が締めつけられた。
WOOZI
WOOZI
虹。
(なまえ)
あなた
もう、見にいけないかも、しれない……っ。
これに関しては、胸が締めつけられることはなかった。



人が悲しむ時。人は何をしてるの。






止まらなさそうな涙、どうやって止めるの。





あなたはどうやったら、笑えるの。




来ましたね。
(なまえ)
あなた
…………っ。
この間来た男が現れた。
その瞬間、あなたの手が俺の手を離した。
ウジ、こちらへ来なさい。
WOOZI
WOOZI
………………。



俺は人造人間。
人の指示に従うもの。







なのに、俺は動こうと思えなかった。








早く。
WOOZI
WOOZI
…………。
すぐ近くにあるあなたの手を握ろうと手を開く。
指先があなたの冷たい手に触れた瞬間、その冷たい手は俺の手を避けて、背中を押した。
振り向くと、あなたは腕で顔を隠してしまっていた。


(なまえ)
あなた
……さよなら……っ、ウジ……っ。



別れの言葉を告げるあなたに手を伸ばすと、後ろから手を引かれて、あなたから遠ざけられていく。



なにがなんだかわからない。




どこへ連れて行かれるの。




教えて。






教えて、あなた。






WOOZI
WOOZI
あなた。







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