私の前に座る、親友の花園結愛が、呆れたような顔で私を見ながらため息をつく。
結愛とは、中等部からのつきあいで、仲が良く、
今年も運良く同じクラスになれたから、この1年C組の教室で、毎日顔を合わせている。
そして今日も朝から私は、結愛にダメ出しをされていた。
この、゛お姫様 ゛というのは皮肉で、
私がどこかの国のお姫様みたいにワガママだからだという。
そんなにワガママを言っているつもりは無いんだけど、結愛にはいつも言われる。
ほかのクラスメイトたちにも最近笑われちゃう。
『あなた ちゃんはお姫様だからね〜』なんて。
嫌なものは嫌って言っちゃう私がダメなのかなぁ?
うちの学校はみんな、私と違って物分かりのいい人たちばっかりだから。
ようやく自分はワガママなのかも……と気づき始めた今日この頃。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!