第10話

~過去~
影山飛雄がコート上の王様と呼ばれていた頃…

゙王様のお気に入りの家来がいる゙

と学校では有名だった。



まぁそれは隠す理由もない。
その異名が付けられたのは、私だ。




別にトビの事が好きで庇っていたわけじゃない。




誰よりもバレーを愛し、誰よりも多くボールを触り、誰よりも上手かった。




だから、拒絶する理由がなかった。









でも、それが原因だったんだろう。





青城の12番・13番は元北川第一でトビと共に戦ってた元チームメイト。

まぁ最初から仲が良かったわけじゃない。

でも、トビのトスで何かが崩れた。








金田一 「…」

国見 「…」


あなた 「確かに、トビは自分勝手で横暴かもしれない。けどトビにはトビの…!」


金田一 「お前…影山が好きなの?」

あなた 「え?」

金田一 「なに、影山の事全部知ってるみたいに言うわけ…?」

あなた 「だって、トビは…!」

金田一 「うっせぇな!!!」

あなた 「…っ」




その顔は今までに見たこともなかった顔だった。

すごく怒ってる。けど、なんか切なそうな…




国見 「あなたが影山好きなら応援するよっ」

あなた 「え…」





国見の笑顔…今までにないくらい冷たくて鳥肌が立った。





2人は私に背を向け歩いていってしまった。




何も…言えずに。









その次の日…




バレー部ではもちろん。


トビは学校では割と人気だった。顔がいいだとか…


クラスでのいじめも受けた。







影山 「最近…元気なくないか?」


真央 「あなた大丈夫?」





そう心配してくれたのがトビとクラスが違う真央だった。


でも、私は強がって




あなた 「全然っ!なんてことないよっ」





無理して笑って誤魔化していた。








季節は春…もう少しで卒業。







なんだろうか…最近、金田一と国見がよくこっちを見ている。



今思うと、謝ろうとしてくれていたんじゃないかと思う。
もしかしたら、そんなことないかもしれない。

でも、そう思っていたなら話しかければ良かったんじゃないかと後悔…している。





けど、前の私には…いや、今の私にも出来ない。

あの2人のせいで最後の中学校生活が全然楽しくなかった。




高校では絶対離れるようにしよう。

お兄ちゃんに頼んであの2人がどこの高校に行くのか聞いてもらった。




゙青葉城西高校゙




お兄ちゃんと同じだった。

きっと、どうせまた会うしかない…



覚悟は決めていた。


けど、いざあの顔を見ると思い出してしまう。


心に出来た小さい穴は2人の顔を見る度…2人の声を聞く度に、どんどん大きくなってしまうことを今日の練習試合で実感した。