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2018/02/27

第2話

半年②
「あなたー!行こ!」

「うん」

私は教科書類を持って、みうと移動を始めた。

この子は中野(なかの)海羽(みう)。去年、転校してきたばかりだった私と仲良くしてくれた一人だ。

もう一人、春田(はるた)由麻(ゆま)という友達もいるが、クラスが離れてしまったので弁当を食べる時以外は二人で過ごしている。

「おっ」

「ん?」

みうが突然声を出して止まった。私はその視線の先を追って、納得した。


――そこには三上がいた。


「先輩、これ調理実習で作りました!食べてください!」

「バナナ食べれますか?バナナマフィンなんですけど」

何人かの一年生女子がラッピング袋を手に三上に話しかけている。

そういえば、午前中1-2あたりが調理実習してたな。もうすぐ5時間目始まるのに、こんなところにいて大丈夫なんだろうか。

私とみうが見ていることに恐らく気付いていない三上は、困ったような苦笑を浮かべていた。

「食べれるけど……悪い、彼女がいるから」

「知ってます!もらってくれるだけでいいんです!」

「お願いします遼介先輩!」

言ってること矛盾してるような……。さっきは食べてくださいって言ってたのに。

「今年の女子は積極的だねぇ。『遼介』先輩だってさ。あなたもまだ呼んだことないのにねぇ」

みうがちらりと私を盗み見る。

……別に、ヤキモチとか妬かないから。三上がモテるのは知ってるし。

「遼介先輩」

「遼介先輩!」

「あーわかった!もらう、もらうから教室行け!遅れるぞ」

「「「やったあ!」」」

一年生が嬉しそうに小さく跳ねる。

そしてラッピング袋を三上に差し出し、三上はそれを受け取ろうとする。


……嫌な感情が、一気に溢れてきた。


「遼介!」

勢いに任せて、叫んだ。

三上が顔を上げて私を捉え、驚いたように目を見開く。一年生達も軽く困惑していた。

やってしまった。……でもこれだけは言おう。


「授業、遅れるよ」


くる、と背を向け、私は早足でその場を去った。

「むふふ」

「その笑い方やめて」

目的の物理教室に着くまで、みうにいじられ続けたのは言うまでもない。