第14話

二年④
1,706
2018/03/27 05:34
「…………」

色とりどりの花が詰まった、花束だった。

「……俺達、付き合って二年だし、今回は何かあげようと思って……いろいろ迷ったけど、花束にした」

「…………」

「花ってな、どれにも『花言葉』があるんだよ。どの言葉も、お前への気持ちだ」

ん、と花束を差し出される。

私は戸惑った表情のまま、その花束を受け取らずに突っ立っていた。

「……なんで受け取らねぇんだよ」

「え、……あ、いや、……花束とか、卒業の時くらいしかもらったことないから。それも部活の後輩達からで」

言葉が途切れ途切れになる。遼介の視線が突き刺さってくるようで、思考回路がこんがらがる。

「えっと……トイレは口実だったの?」

「聞きたいのはそんなことか!?」

「ご、ごめん、もらう」

「……おう」

たどたどしく花束を受け取る。

少し重みがあって、懐かしいけれど、確かにそれとは違う“特別”なものだと感じた。

綺麗な花々を見つめていると、恥ずかしくなったのか遼介が話し出した。

「いろいろ入ってるけど、言うのはあれだから家帰ったら調べてみろ。花言葉。結構悩んだんだよ」

「……なんか、付き合ったばかりの頃と全然違うね、遼介。もっと遠慮がちだったのに」

「それ言ったらお前だって、あんなに初々しかったのに今は平然としてんじゃねぇか。キスもすげぇ上手くなっ――」

「花束投げるよ」

「すみません失言でした」

瞬速で謝ってきたので、まぁ許してあげた。

っていうか本当、コントみたい。何してんだろ街中で。

「これ持って帰るの恥ずかしいな……」

「……悪い」

「ふふ。――ありがとう」

花束を抱きしめるように抱えて、満面の笑みで言う。


“私も、遼介が大好きだよ。”

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