私は意外と落ち着いてこの状況を整理していた。
だってこの間授業で習ったもんねっ!
まぁ、うん。眠くてほとんど聞いてなかったけど!
魔族の弱点は首の中心にあるコア。
てことは多分これも同じはず。
ご丁寧に首に赤いボタンまでつけて
くれてありがとうございます!
確定だね、こりゃ!
とりあえず魔族(仮)の首に葉の刀を突きつける。
……あれ、残りのやつに逃げられた?
おっ、もしかして
ビビってんのかな?
ハッハッハッ!
いや、なんか悲しいな。
なんで無視なの?ねぇ?
……まぁいっか!これでご飯は確保された。
みんなの魔法見ーよっと。
「雷道!」
後ろから詠唱が聞こえてちらっと振り返れる。
そこには一筋の雷と、その先に悠里がいた。
あ、そういえば
さっきのしりとりまだ終わってないじゃん!
いやいや、じゃなくてですね!
雷系魔法、うんピッタリだ…。
趣味、ハッキング
特技、ハッキング
夢は、ハッカー
そう、悠里はあんな可愛い顔しておきながら
実は腹黒で機械が大得意な超理系でした。
あの雷系魔法なら
ハッキングしないでも壊せるんじゃないかな?
立式シューズでこっちの木に移動してきた悠里。
こ、こわっ!
いつの間にその機械バラしてたの?
というかそんなのすぐ分かるようなものなの?!
うん、残念ながら私には
ハイライトの消えた目でにまぁっと口角を上げている
悠里にそれを聞く勇気は無かった。
さて、悠里のすごい魔法も見れたことだし、
双葉の魔法とか見てみたい!
一通り見回して双葉の姿を探す。
おっと、今
見てはならないものを見てしまったよ。
双葉が近くに手をかざしただけで
思いっきり機械が壊れてたよ。
あっ、と
目があってしまった。
一気に喋り終えた悠里。
私が理科が苦手だからなのか
それとも悠里の早口が原因なのか
まっっっったくわかりません!
これも
私に理解力がないせいなのか
双葉の言語能力が残念なのか
まっっっったくわかりません。
後ろでキャッキャ騒いでる二人。
ぼぅーっと謎の話を聞いてたら
なんやかんやでもう皆終わっちゃった。
他の人の魔法も見たかったなぁー。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。