……さーて、どうしたものかなぁ。
手駒は増えたと言っても
あいつの馬鹿みたいな強さは変わらない。
私たちに残された時間も増えない。
とにかく考えながらやるしかないか。
悠長に考える時間もないし。
地面に私の魔法をかけて檻を作る。
そしてっ、すぐ狙う!
これじゃ絶対クビはとれないだろうけど
せめて隙は作りたい……
知らないっての!
漫画とかでよく見るけど
それで辞めるバカいると思う?!
……あれ待って。
このイキるキャラってフラグ
危なっ!
目の前には魔法を抜けたあいつの
毒入り ナイフが突きつけられていた。
全身から冷や汗が止まらない。
あと一種でも反応が遅れていたら
胴体と首がグッバイしてたわ。
あと毒も回って死体すらおじゃんか。
あ、ちょ、待って。
この体勢じゃっ、受け身とれな
助かったぁ……。
さっきは急で驚いたけど
怜央の空間魔法で私の位置が変わったのか。
うーん、なんだろう。
ジリジリと殺意が迫ってくるな。
まぁ敵さんも待ってくれるほどバカじゃないよな。
……いや説明して?ねぇ?
なんかかっこいいのが腹立つんだけど。
あぁ、もうやるしかないのぉー?
よし、初めて隙を見せた。
多分あんだけ直に聞いてれば
脳も目も上手く働かない。
怜央とあいつの入れ替え。
つまり団長の前に敵。
……なるほど合わせろってそういう。
あっ。
あいつ団長の気配を察して
わざと近くにいた朱莉さんに目標を変えて……
だっ、団長も?
え、目は見えてないはずじゃないの?
ねぇどうして、なんで?
……もう、強さの意味がわからない。
もう、ダメだ……。
だって、いつの間にかみんなも倒れて
団長の魔法も効かなくて。
残りは1番遠かった私と怜央だけ……
珍しく真剣に焦っている顔で怜央が言う。
……よし。時間置いて大分落ち着いてきた。
。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!