第31話

第30話「黒幕の存在」
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2021/02/12 13:49
……え、え、
盛りだくさん過ぎて脳がパニック。
言葉がゲシュタルト崩壊。
お腹が鳴ってる。
夏空 朱莉
夏空 朱莉
ちょっと、文面で整理するよ。
胸ポケットから取り出された
メモ帳のページど真ん中にに1本
線が引かれる。
夏空 朱莉
夏空 朱莉
今まで私たちは
上が魔族。下が人間だと思ってた。

だけど、この本を事実とするなら
上に住んでる魔族が本当のニンゲンで
下に住んでる私たちが本当はマゾク
だったってことになる。

そして、夏穂は
「マゾク」の体と血を持ってる。
だから動物特有のフェロモンも持っている。

相手側からしたら本当の歴史を戻すために
必要な存在なんだろうね。
……え、私そんなすごいやつだったりしたの?
なんかそんな漫画あったよね?!
主人公実は○○でした。的な!!
あれはー。あ、ブックスだ。
うーん、正直言うと、不謹慎だけど、
実は楽しかったりする。

漫画女子からしたら憧れの展開だよぉ!
錐妖 怜央
錐妖 怜央
……楽しんでないか、夏穂。
海鳴 夏穂
海鳴 夏穂
うん、そんなことなあるいよ。
錐妖 怜央
錐妖 怜央
あるとなしどっちだ。
海鳴 夏穂
海鳴 夏穂
すいませんちょっと楽しいです。
夏空 朱莉
夏空 朱莉
……じゃあ、私たちは
マゾクの体に人間の血を持ってる。
ハーフってことか。
……あれ、そっちの方がレアっぽい?
私、体も血もただの魔族なんですけど、
え、みんなは血は人間なんですか?
なんか強そう。
錐妖 怜央
錐妖 怜央
……おかしい。
夏空 朱莉
夏空 朱莉
確かにそうだけど、
昔から変だったってことでしょ?

簡単に言うと逆に伝わってただけ。
魔族と人間が。
それで私たち人間の今のターゲットは
「ニンゲン」

……そんな大差なくない?
錐妖 怜央
錐妖 怜央
いや、そうじゃなくて。
それが全て事実なら、
俺たちみたいなやつを作りだすために
血を混じえるやつが必要で、

歴史を変えたやつも、いるはずだ。
……何、その
恐ろしい推理。

だって、まだ
黒幕がいるってことでしょ?
それに、それが本当なら
そいつはまだ生きてるはずだ。

この本が頑丈に保管されてあった以上
その事実を知ってるのはそいつだけ。

私の価値を知ってるのは、
そいつだけなのに、私は組織で奪われた。
夏空 朱莉
夏空 朱莉
……確かに、
この本にある血や体と私の知る
人間の血と体の作りは微妙に違う。

多分、本当に血が半分半分の
ハーフなんだろうね。
夏穂は純血な魔族だけど。
海鳴 夏穂
海鳴 夏穂
要するに、







私たちの知る事実は偽物で
すり替えた黒幕がいるってこと……?


……高笑いが聞こえた気がした。あいつの。
                                      死龍紺花、あんたが!
あんたが歴史をすり替えて!
血を入れ替えた!

そしてそのおままごとを続けた!
私の自由と、間接的に私たちの家族を奪った!

……ぜったい、ぜったい、許さない!
待てよ。



……あれ、ってことは、

あいつ何歳なの……?
今度はそっと怒鳴り声が聞こえた気がして
私は思い出すことをやめた。

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