……こんな事件に巻き込まれたのさほど
驚かない自分が悔しいやら虚しいやら。
攫われるのなんて2回目なもんでして。
理由分かってるし、なんか慣れたもんですよ?
いや、あれ、待てよ。
今回は全員閉じ込められたってことは、
外から助けに来れる人が居ないじゃん。
え、このままだと私たち助からないじゃん?!
「あらあら、これは皆様お揃いで。
ご機嫌いかがですか?」
上から急に女の声が?!
あ、スピーカーか。なるほど。
助かる状況説明係ね。
……しかも、
この声、もしかして
「あなたの前ではそう名乗ったかしら?
名前なんて藍花、紺花、朱花……
たくさん使い分けてるから
いちいち覚えてられないわ。クスッ」
それって佐奈を脅した、あいつ?
よしこれ紺花(仮定)ぶん殴れば解決するやつだ。
あいつが絶対ラスボスだ!
「は?」
素の、は?いただきましたー。
声だけだから全然怖くないよーだ!
「それはさておき。
今から、ゲームをしましょう?」
「えぇ、そうよ。
最も、私はまだ若者だけどね。
ゲームのルールは簡単。
私が今からそこにある時限爆弾を起動する。
リミットは3時間しかない。
そして、
こっちの五大幹部の手元には
解除するために必要な、
3つの鍵がひとつずつ揃ってる。
そこで、
私がランダムに2人ずつ別空間に閉じこめるから、
戦ってちょうだい。
もし無事に出れたら
今回は、手を引くわ。」
……今回は、ね。
相変わらず抜け目がないというか。
というか爆弾あるの?!
え、そんなの不利、
というかもう従うしかないじゃない。
「どうするのかしら?
受けてくれる?」
よし、そうだそうだ!
団長もっと言ってやりやがれくださいませ!
「あらあら、ノリが悪いわね。
まぁいいわ。ふふ。
それでは、ゲームスタート。」
そんな、大嫌いな声で
私たちの命を懸けた爆弾ゲームが幕を開けた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!