順調、なのか。
来た時には100体はいたはずの魔族は
もう数えられる程になっている。

そして反比例して
数えられなくなる仲間の遺体。

下は血溜まりと誰なのかも分からない
ぐしゃぐしゃの遺体。

ごめんなさい、ごめんなさい。
と唱えながら遺体を横切って空を渡る。

私はかすり傷程度ですんでるけど
そろそろ疲れてくる。

あー、もう
瞬殺できる方法ないかな。

心身ともに限界だよぉ。

いきなり現れてそれ？！

と突っ込む間もなく消え去った
桃色の髪の女の子。

あのカーキのパーカーと
胸章見る限りあの人も戦兵団か。

ちなみに
胸章のデザインは

戦兵団には
「希望の刃」を表す太陽

守兵団には
「守護の光」を表す月

創兵団には
「想築の証」を表す星になっている。

にしてもなんだろ。
いきなり現れて、息ひとつも上がってないし。

今日は知らない人とよく会うな。

は……？

え、ちょ。

終わりかどうかを話してるうちに
消え去った魔族の影とオーラを増した彼女。

そして彼女を彩るかのような血飛沫。

ちょ、悠里。
私の後ろに隠れないでよ！
ずるい！私もそうしたいよ。

なんで他人事なの？
あとどこから拾ってきたのよその魔族の死体。
怒られるから戻して来て。

咲、怖い素が出てるよ。
オブラートに包もうね。
変わりに謝ります、毒舌でごめんなさい。

聞いてなかった……？！
いやむしろ好都合かも。

華麗に右へターンし向きを変えた彼女。

微妙に会話とズレてない？
そこからなの？
わざと？わざとなの？

嵐のように来て嵐のように去っていったな。

同期らしいけど。
一体あの子はなんだったんだろ。

苦い顔でぼそっと呟いた佐奈に
視線が集まる。

でも、
体の柔らかさといい魔法といい剣術といい体術と言い
同期の中じゃ佐奈が一番だと思うけど？

そう言って自分の頬の擦り傷を刺す。

あら、可愛いお顔が台無し。じゃなくて！

なんで蒼が言うのかな？
私の心でも読んだの？

佐奈もキレるよ？

そして佐奈、照れるとこかな、
疑問符付きだよ。疑問符。

もうこいつらある意味お似合いだね。
イチャつくなら戦場外でお願いしまーす。

悠里、そこに意味を求めちゃダメ。
双葉が言うならきっとそうなんだよ。
ぐあっなんだよね。

なんにせよここは終わったんだし
団長のところに行こ。

お疲れ私。
そして頑張れ私……。

。