佐奈side

グサッ

左腕に毒付きナイフが刺される。

こいつの科学、すごく強い。

近づくことができない、防御だけで手一杯……！
近づけたとしても周りは罠だらけ。

……あと、何分いけるだろうか。
どれくらいなら耐えれるだろうか。

さっき毒が回ったせいで
上手く働かない脳を使って
一生懸命考える。

あの毒みたいな攻撃は
もう3発もくらってられない。

あいつの攻撃自体はそんなに重くないから
まだいけるはず。

それと私に仕掛けられてるはずの
装置は…状況次第だな。厄介だ。

多分向こうも同じような状況だろう。

つまり私に与えられた時間は
あと5分もない。

それを外したら、もう手がない。
あとは、蒼を信じるしか。

運を頼るしかない。

時間はない。
タイマーはあと3分……！

……そんな！
じゃあ、もう時間は本当にないじゃない。

まだまだ、ギリギリまで粘れ。
きっとあいつならそうするから。

それが私にできる私のためのことだから。

いきなり何かに押し返されて倒れ込む。
まだ1度も食らってない攻撃だ。今のは、何？

……考えるのは後でにしよう。
今は、とりあえず時間を稼げ。

少しでいい。
回れ、私の口。
……動いて、私の体。

こいつは、動けない私がもう
反撃するはずがないと思ってる。

悔しいけど、今は
今だけは、それでいいっ。

お願い、私。
そして蒼！

蒼side

シュッ

また深く別の箇所を切られた。

こいつの暗殺、すげぇ強ぇ。

近づくことなんてできやしないし。
勘だけで交わすのが精一杯だ。

……あと何分続けられるか？

ジンジンと続く痛みのせいで
まともに動かない頭を回す。

あの刺される攻撃は
出血量的にもあと五も受けれない。

切られる攻撃は
うまく交わせたらだけどまだ余裕はある……はず。

それと後ろに回られるのは厄介だ。
追えないからいつどんな攻撃が来るか分からない。

つまり俺の猶予は5分以下か。

それを外したらきっと負けだ。
あとは佐奈を信じるしか。

運を当てにするしかない。

時間はない、
リミットはあと3分。

……くそ！
そんな時間ねぇじゃねぇかよ。

いいや、まだだ。
最後までちゃんと、粘れ。

きっとあいつもそうするから。

それが唯一俺にできることだから。

ガクンッ

いきなり柄でみぞおちを打たれて座り込む。
そんなの、ありかよ……。

……とりあえず何としても時間稼ごう。
今は、とりあえずそれだけでいい。

ちょっとでいい。
動け、俺の口。
動け、体！

こいつは、もうこんな俺が
反撃をすることなんて考えてるはずもない。

悔しいけど、今は、とりあえず
それでいいや！

頼むぜ、俺。 
そして佐奈！