あれから一ヶ月。
死ぬような、
というか何人か実際死んだんだけど……。
とりあえず血反吐を吐くようなあの厳しい訓練を終え
私達は今、卒業式をしてます。
というか兵士訓練校にも卒業式っていう概念あるんだね。
ねぇ、あともう1つここにもある
学校あるある言っていいかな?
「校 長 の 話 が 長 い」
開始から20分、
兵士としての責任どうこうが
繰り返されております。
なに、これは
忍耐力と脚力の訓練なの?
あ、ようやく終わったぁ!
……座った瞬間先生に睨まれた。
そして私はやっぱりこれは訓練だと思うことにする。
え、考える間もないじゃん。
戦兵団。
マーキュリアル外の魔族の討伐を目的とする
最も死亡者の多い過酷な兵団。
守兵団。
民や王族の護衛を仕事とし快適な内陸部で働けるため
最も志望者が多い兵団。
創兵団。
天井の補給兵士の装備等技術開発を目的とする
座学の成績優秀者15人しか行けない兵団。
つい、ため息をつく。
戦兵団は死を覚悟し、民に命を捧げる。
私にきちんとできるのかな。
まぁ、ずっと決めてたし
戦兵団しか行くとこないんだけどね!
。
私は部屋に戻って思いっきりドアを開ける。
みんな机に集まって
入団希望書を手にしている。
……なんか入らないといけないっぽくない?
私はサッと靴を揃えて机の端っこを陣取る。
この部屋のみんな座学の成績上位15人に
入ってるからどこでもいけちゃうんだよな。
双葉がいるなら問題はない。
これでボッチは回避できた、
ようやくっ、心置きなく入れる!
言うと思ったんだよ……。
みんなのため息、
咲の満面の笑み、
双葉からの謎のつつき。
もうしょうがないみたい……。
……もう何も言わないよ?私は。
……まぁ約束したしね?
当たり前ナンダヨ、ウン。
生存率が今ぐっと上がった気がする。
……もしかしてこのノリで行けば。
ほら!
震え声と涙目。
駄目だ、可愛い。
涙なんてない目でにっこり微笑む悠里。
こいつ、演技しやがった?!
くそぉー、腹黒だったこと忘れてたぁ!
でもまぁこの部屋のメンバーで
戦兵団にいけるのは素直に嬉しかった。
もう最後になる自分のベッドで
私はぼんやりと戦兵団で働く私達を想像して、寝た。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。