第8話

覚えてたいの
46
2018/04/01 02:25
車のクラクションが聞こえた。
プァーッて、耳を裂くような、脳まで振動するようなサイレンと同時に鋭い痛みと温もり。

これ、知ってる。知ってるよ。
場面が変わった。私が病室で寝ていて、郁巳も寝ていて。あなたの意識を感じられなくて咄嗟に願ってしまった。
郁巳だけでも、あなただけでも、私か必要としているあなただから。


生きてほしい、と。


醒めない夢を見ているようだった。でもこれが現実なのだと、理解した。

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