第6話

時間に身を委ねて
53
2018/04/01 02:24
「結寿! 起きてる?」
目の前には大好きな彼の顔。どこだっけ、ここ。
「郁巳……、ん? 寝てた?」
どうやら映画館のようで。あぁ、そういえば告白シーンあたりで眠くなったなあなんて思い出していた。
「ふはっ! バッチリ寝てたじゃん!」
大口を開けて笑う恋人。私のことを必要としてくれる、私も必要としている人。私は郁巳をじっと見る。もうそろそろ館内をでなければならないのに、今すぐ伝えなきゃいけない気がした。
「好きだよ」
彼の顔が少し赤くなるのがわかって、彼の表情が見えなくなる寸前で、またあの浮遊感を感じた。

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