第63話

~葛藤~
7,639
2020/10/19 14:07
彪馬side





そして、無惨様の血を貰った俺は鬼になった。






十二鬼月にも入り、上弦の肆となった。






親父を殺して、朱那村の頭領にもなった。







毎日数多あまたの人間を喰い殺し、





自分に尽くしてくれた部下も殺して食った







俺が殺めた人間の数が増えていくように、



彼奴への憎しみも日々増すばかりだった。







そして、鬼になった俺はあれほど憎かった親父の顔も、


病気で死んでいった大切な母の顔も、


一緒に訓練に耐えてきた兄妹の顔さえも、










いつの間にか忘れてしまった。








覚えているのは、過酷すぎた訓練の記憶と




親父への憎悪心、、、









そして、憎い彼奴の




















優しく笑った顔だけだった、、、






なぜだ







俺は彼奴を恨んでいるはずだ。






なのに、







いつも人を殺す度、、、















彼奴の顔が頭に浮かんだ、、、









彼奴の顔だけが、彼奴の笑った顔だけが脳裏にこびりついて離れなかった。











_______________









そして今、彼奴は俺の目の前にいる。









憎いはずなのに、恨んでいるはずなのに









彼奴の顔を見ると、










どうしてこんなにも胸が苦しくなるっ、










まさか、、、







鬼になったことを後悔しているのか??







俺は彼奴を殺す為だけに鬼になったと言うのに、、、






ごめんなっ_______________







お前を、助けられなくてっ_______________






俺のせいだ。_______________






すまない。_______________
宇髄彪馬
宇髄彪馬
っ、、、
宇髄彪馬
宇髄彪馬
今さら遅いんだよ!!!!
 




ドカーン!!!!!!!!




宇髄天元
宇髄天元
お前は逃げてるだけだ!!!!
宇髄天元
宇髄天元
心の弱さから逃げるな!!!!
宇髄彪馬
宇髄彪馬
黙れ!!!!!!!
ビュッ!!!!






奴が攻撃を仕掛けてきた。


宇髄彪馬
宇髄彪馬
っ、とう、、、





ドガン!!!!!!!!





宇髄彪馬
宇髄彪馬
、、、
両腕を落とされた。







だが、その代償として、彼奴は左目を失った。




宇髄天元
宇髄天元
はぁっ、、、はぁっ、、、
我妻善逸
我妻善逸
宇随さん!!!!目がっ、
もう毒が回ってきてます!!!!
あまり激しく動くとっ、
宇髄天元
宇髄天元
俺は大丈夫だ!!!!
宇髄彪馬
宇髄彪馬
お前は黙って、
俺に殺されてればいいんだよ!!!!



"俺は、一体何がしたいんだ、??"







そう思ったが、もう後戻りは出来なかった。










全て彼奴のせいにすることで何とか自分を保った。


















next

プリ小説オーディオドラマ