彪馬side
そして、無惨様の血を貰った俺は鬼になった。
十二鬼月にも入り、上弦の肆となった。
親父を殺して、朱那村の頭領にもなった。
毎日数多の人間を喰い殺し、
自分に尽くしてくれた部下も殺して食った
俺が殺めた人間の数が増えていくように、
彼奴への憎しみも日々増すばかりだった。
そして、鬼になった俺はあれほど憎かった親父の顔も、
病気で死んでいった大切な母の顔も、
一緒に訓練に耐えてきた兄妹の顔さえも、
いつの間にか忘れてしまった。
覚えているのは、過酷すぎた訓練の記憶と
親父への憎悪心、、、
そして、憎い彼奴の
優しく笑った顔だけだった、、、
なぜだ
俺は彼奴を恨んでいるはずだ。
なのに、
いつも人を殺す度、、、
彼奴の顔が頭に浮かんだ、、、
彼奴の顔だけが、彼奴の笑った顔だけが脳裏にこびりついて離れなかった。
_______________
そして今、彼奴は俺の目の前にいる。
憎いはずなのに、恨んでいるはずなのに
彼奴の顔を見ると、
どうしてこんなにも胸が苦しくなるっ、
まさか、、、
鬼になったことを後悔しているのか??
俺は彼奴を殺す為だけに鬼になったと言うのに、、、
ごめんなっ_______________
お前を、助けられなくてっ_______________
俺のせいだ。_______________
すまない。_______________
ドカーン!!!!!!!!
ビュッ!!!!
奴が攻撃を仕掛けてきた。
ドガン!!!!!!!!
両腕を落とされた。
だが、その代償として、彼奴は左目を失った。
"俺は、一体何がしたいんだ、??"
そう思ったが、もう後戻りは出来なかった。
全て彼奴のせいにすることで何とか自分を保った。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。