櫻井さんは、
私と出会った頃からのたくさんの話をしてくれた。
私と櫻井さんは幼馴染だったということ。
櫻井さんと私はずっと一緒にいたこと。
小さい頃のわたしは、櫻井さんにずっとくっついていたということ。
小さい頃のわたしは、よく転んでいてその度に櫻井さんが助けてくれたこと。
お互いの家を行き来していて、よくお泊まりをしていたこと。
いろいろなところに遊びに行っていたこと。
大人になってからも、そんな関係は続いていて、
休みの日とか予定が会えばよく会っていて、映画を観に行ったり、
ショッピングモールに買い物しに行ったり、
海に遊びに行ったり。
一緒にいることが当たり前だった。
私の中で何かが繋がった。
この人は翔くんだ。
この人は嘘ついている感じではなかった。
それにわたしの思い出せた記憶の中の翔くんと繋がった。
幼馴染の大好きだった翔くんと、
大人になってから付き合ったということが。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!