そんなこんなでどんどん先延ばしにしていた。
仕事を理由に会いに行くことをしなかった。
そんなある日
懐かしい友人から連絡が来た。
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『翔ちゃん。久しぶり。ちょっと会えない?話したいことがある』
そんな連絡が来た。
「ニノ。久しぶり。うん、分かった」
『なるべく早めがいいんだけど… 明後日とか大丈夫??』
「うん。大丈夫だよ」
『じゃあ明後日。いつもの居酒屋で』
ニノとは最近会えていなかった。
俺が忙しいというより、彼の方が忙しい。
彼は大きな病院で医者をやっているから。
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『おお、ニノ。久しぶり』
「ごめん、遅くなって」
『大丈夫だよ。それより話って?』
「ああ。」
「単刀直入に聞くけど、翔ちゃんの彼女のあなたちゃん入院してるでしょ?」
『っ!! なんで知ってんの?』
「それがさ、オレ担当医なの。あなたちゃんの」
『は?!!』
「友達から事情は聞いたよ。翔ちゃんのことだから俺のせいだって自分を責めてるんじゃないかなって思ってさ」
『流石だな(苦笑) その通りだよ。だから会いに行ってないんだ』
「ねぇ、翔ちゃん?俺の奥さんのこと知ってるでしょ?」
『え、、? うん』
「俺の奥さんは目を覚ましてくれない。頑張っているんだよ。でも、かなり厳しい状態なんだ。」
そう。
ニノの奥さんは、三年前交通事故に遭ったっきり目を覚ましていないんだ。
「けれどね?あなたちゃんはちゃんと生きている。リハビリも頑張ってる。今度は翔ちゃんが少し頑張って見る番なんじゃないのかなって。」
そうだよね。
その通りだ。
あなたは頑張ってるんだよな。
俺が逃げてちゃダメなんだよ。
支えてあげないと。
俺が、あなたを守らないと。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。