第10話

After story①
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2025/02/18 12:00 更新
LYNNLYNN side


イチェンヒョンの『特別』になれた。あの優しい笑顔が戻ってきた。

ヒョンが合脱式の後、僕を寒い廊下まで連れて行って、告白してくれた。

ヒョンは最初僕のアピールを嫌がってたけど、最後には僕を好きだと思ってくれてたなんて、諦めないでよかったなあ。

あの時騒いじゃったけど、おでこにキスされたのは嬉しかったんだ。あ、ヒョンが僕の頭におでこをぶつけたのは、ちょっとダサかった。

あの告白の後から、ヒョンは僕にめちゃくちゃ愛を伝えてくれるようになった。付き合う前の僕のアピールをスルーしたのを気にしているのか?

「リンリン〜キスしていい?」

「ほっぺならいいですよー」

ちょうど今も僕の隣にいる。ヒョンのベッドにふたりで並んで座って。

僕達はあの後、また同じチームになって、同じ部屋にもなった。しかも2人部屋。メンバー達は俺達が付き合ってることを知らないが、なぜか気を遣われて2人にしてくれた。(仲直りしたと思われてるから……たぶん。)

「唇はダメなの?」

「今はダメです、韓国語勉強中。」

「えーい、そう言ってさっきからページがいっこも進んでませんけどー」

「じっくり読んでるんですよお」

ヒョンの言う通り、ページは最初から全く進んでない。ヒョンが隣にいると、緊張しちゃうんだよ。前は全然そんなことなかったのに。

「一瞬だけ!一瞬だから!」

「どんだけしたいんですか…」

いつもはしっかりしているヒョンが、僕の前だけこんなにしつこく甘えてくる。実を言うとたまにめんどくさいときもある。でもヒョンのこんな姿を見れるのは僕だけだと思うと、僕本当にヒョンの恋人になったんだ、って実感して口角が自然と上がってしまう。

「はい、どうぞ」

ヒョンの方を向いて目を瞑る。これで一瞬でキスしなかったらすぐに戻ってやろう。

…と思ったけど、頬をがしっと掴まれて顔を動かせないように固定させられた。

ヒョンの綺麗な顔がゆっくりと近づいてくる。僕は思わず目を逸らしてしまった。

「リンリンって目合わせようとするとすぐ逸らすよね〜」

「だってヒョンの顔綺麗なんですもん」

「もお〜」とヒョンが崩れた。その隙に僕は顔を元の位置に戻す。

「あ、戻るなよ〜。もう何も言わないから、もっかいこっち向いて!」

「恥ずかしいヒョンだなあ、もうヤです。」

付き合う前まではリンリンの方が俺にベタベタだったのに〜、と文句を言うヒョン。それは恥ずかしい思い出を思い出すからやめてくれ。

ヒョンが急に静かになったかと思うと、ベッドから降りて跪き、僕の韓国語の本を取り上げた。

「あ、ヒョン!何するんですか!僕真剣に読んでたのに!」

「リンリン、今はこっち。」

ヒョンの目に吸い寄せられるように動けなくなってしまう。

『いつでも韓国語の勉強をしなさい』とヒョンにしこたま言われていたのに、今は俺に構って、って自分勝手すぎるだろ!

ヒョンが僕の手をとって指先にキスを落とす。

そのまま甲、手首、首筋…とどんどん上に迫ってくる。

「…恥ずかしい」

なんだかヒョンの仕草がくすぐったくなって、思わず声を洩らした。

その瞬間、首筋にちくり、と痛みが走った。

「っ!なに、?!」

「あ、ごめん、つけちゃった」

つけちゃったって何?と思うと、ヒョンがいそいそと近くにあった鏡を持ってきて、僕の首が見えるように、嬉しそうに鏡を向けた。

「……あ!?」

「なんか可愛くてつい。」

ヒョンの肩をばしんと1回だけ強く叩いた。ヒョンは肩を抑えて痛がってるけど、顔はすごく嬉しそうだ。

「なんでつけるんですか?!しかも見えそうで見えない…いや、見えなさそうで見える位置に…」

仮にも僕達練習生だけど?これが見えちゃって放送されたらどうするつもりなんだ。

僕にとっては一大事なのに、ヒョンはくすくすと笑っている。

「大丈夫大丈夫、俺がそれ、見えない服貸すよ」

「そんなのヒョン持ってましたっけ?なかったらどうなるかわかってますよね」

僕が睨みつけると、ヒョンが「おーこわい 笑」と言いながらスーツケースの中を探しだした。

「んー、これでどうにかなるかなあ」

一応隠せそうなのは見つけたけど、ヒョンは俺に渡してくれない。

僕は一生懸命腕を伸ばして取ろうとするけれど、ヒョンが服を遠くへと離したり、フェイントをかけたりして僕を遊んでいる。この…僕より背がちっちゃいアジョシが。

「ちょっと、なんで渡してくれないんですかっ、ヒョンは僕がファンの方に、女の影がどーたらこーたらって言われてもいいんですか?」

「それはヤダけど〜…そんときは『これつけたのイチェンヒョンです』って言えばいいじゃん」

「ダメに決まってるでしょ!?」

ヒョンが笑って、服を遠くへ投げ飛ばし、僕の腕を掴む。

「わ、」

「服貸すから、もういっこつけてもいい?」

「…見えない位置にしてくださいね」

ヒョンが嬉しそうに首筋に近づいて、赤いしるしをつけた。



ファイナルの後、僕達はデビューできなかった。だけど、この番組にヒョンと出られたことには感謝している。

その後ヒョンが、僕と同じグループでデビューしたいと騒ぎ出したのは、また別のお話。

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