第10話

【4】
129
2022/01/22 14:37
Nside




思ったより大事になってしまった。



あの時引き止めてれば。

倒れた日受診を薦めてたら。

もっと気を使っていれば。



目覚めた瞬間からこれ。笑


「おかだせんせ、だいじょぶですって」

酸素マスクで喋りにくい。



「随分無理したね。」

俺が大丈夫と言っても、ひたすら謝り続ける岡田先生に困っていた時。

「おおしませんせ」

「児島だよっ。」

昔からの担当医、児島先生。

「申し訳ありませんが、少し外でお待ちを。」

外に出される岡田先生。








「んー、あんまり音良くないね。」

「せんせ、はずしていいですか?」

酸素マスクを指さす。

「そうだね。99パーだし」

顔の周りがスッキリする。

「そのー、僕、どーなったんですか?」

少し機嫌悪めな先生に恐る恐る聞く。

「医者がいなかったらどーなってたことか。内科の藤木先生からPHSで「二宮っていう心疾患患者知ってる?」って聞かれてはい知ってますって言ったらその患者が不整脈の発作で意識レベル低下してるって騒いでるからびびったよ。」

外でストレッチャー用意して待機してたら意識ない状態で運ばれてきた俺を見て腰を抜かしたとか。

心臓の手術後、心臓の不調で運ばれてくるのは初めてで、しかもこんな悪い状態で運ばれてきて心配どころか怒りが湧いてきたらしい。

「ペースメーカーも植え込むべきかね。」

いつもはおもしろく見える顔が今日は怖い。

「ほんきですか?」

「本気だよ。心配だから1週間様子みよっか。明日の昼まで歩行禁止ね。また後で様子見に来るから。」


さらに機嫌を悪くさせてしまった。

怒りのオーラを纏った先生の後ろ姿を見送る。


「後輩くん、大丈夫?」

「先輩さん。。。そー言えば授業とかって。」


1番重要なことを忘れてた俺。

聞くと、副担任が生徒たちには言わないで何とか交わしたみたい。

自習になった生徒たちは浮かれてワイワイしてたみたい。

俺がいなくても楽しそうにしてることに悲しくなる一方、バレなくてよかったという安心感。


「1週間どうしよ。中間近いし自習課題させた方がいいですよね。ってなると…」

「後輩くん落ち着いて?今は身体を休めることが1番だよ。」

「でも先輩?先生になったからには生徒を1番に考えないとなんです。。だからその、、パソコン持ってきてくれませんか?」



先輩の言葉を無視して頑固な俺。

可愛くないって思われてんだろうな。

それに、忠告を無視したからバチが当たったんだね。

プリ小説オーディオドラマ