Nside
親には連絡しないでとせがみ、パソコン持ってきてとねだりる俺。
めちゃくちゃ自己中で周りに迷惑をかける。
『今日家行っていい?』と潤くんからのLINE。
『残業で帰るの0時になるかも。ごめん』と嘘つく俺。
着替えどーしよーと悩んでると「ニノーと入ってくる白衣の男」
「俺、大野智。医者のたまご。今、内科にいるの。」
最初からタメ口の彼。
あ、内科検診のあの人。
「おーのさん、あの時はありがとう」
俺もつられてタメ口になる。
「ニノ、准一にパソコン持ってくるように頼んだんだって?仕事熱心な事には関心するけど、今は自分の身体の方が大事だよ?」
みんな口を揃えて“身体が1番”って。
これは俺にとって禁句だ。
高校受験の時も言われまくった言葉だし、留年する直前のめちゃくちゃ足掻いてた時にも散々言われたし。
普通の人は勉強優先なんて言われてんのに俺だけなんで?って思う。
「簡単に言わないでよ…」
助けて貰って、いい感じに喋ってたおーのさんについキツい当たり方をする。
「え、」
「こっちは生徒たち数十人の人生背負ってんのに。自分一人を優先させろって?簡単に言わないで…」
「…ごめん、、確かにそうかもしれない。けど…」
「「けど」の後の言葉…聞きたくない。ゴメンだけど今日はもう帰ってくれないかな。」
最悪な突き放し方。
このときおーのさんがどんな顔して出ていったか俺は知らなかった。
まずはワークをやって貰って、そんで教科書とか見てレポート書いてもらって、、、
やってもらうことは決まった。
生物・物理の先生にメールで細かく伝える。
『了解しました。1週間休むとなるとかなりイタイですね。退院したらすぐに範囲終わらせないと大変なことになりますよ。あ、これは嫌味とかじゃなくて忠告ですから。』
この先生苦手なんだよな。いつも当たりが強い。でも正しいこと言ってるからなんも言い返せない。だから精神的にやられるんだよね。
授業をどー進めていこうかプランを練り直す。
そしたらもう10時。
消灯を知らせに来た看護師に見つからないようパソコンを隠す。
居なくなったらまたパソコンを開き作業を進める。
ピリピリと痛み出した胸。
キーボードに置いていた手を胸に持ってくる。
ゆっくりと摩る。
今度は息苦しさも出てくる。
岡田先生に持ってきてもらったカバンに手を伸ばし薬を探す。
このくらいなら発作止めを飲めばすぐに治まるから。
何十分経ったんだろう。
ベッドに凭れてた身体を起こす。
もうなんともない。
今の発作で若干脈が上がったり酸素濃度が落ちたりしたがアラームがなるほどではなくて、1人で対処出来た。
この仕事が終わったらちゃんと1週間休むから終わるまで。
再びパソコンに向かう。
何度か様子を見に来た看護師を交わして深夜3時まで仕事をすることが出来た。
終わって安心した俺はすぐに眠りにつく。
俺ってほんとに馬鹿だ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!