第8話

【2】
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2022/01/22 12:25
准一side



智とお昼を食べてると現れた二宮先生。

酷い顔色。

でも智を見つけると明るく喋りだす。

これが強がりなんだってことがすぐ分かる。

あとから放っておいたことに後悔。

最近、朝会で倒れかけた二宮先生。

隣にいた俺にしがみつくような体制になって、2人で体育館を抜けて保健室に。

「最近寝れてなくて…」って言う彼。

血圧を測るとものすごく低くて病院に担ぎ込もうかと思った。

その日、二宮先生は3限から授業だったのでそれまで2時間休ませた。

少しでもエネルギーになるようにって、冷蔵庫にあったブドウ糖のinゼリーを飲ませた。

そしたら幾分か顔色が良くなって授業に出ていった。


「そー言えば、さっきの先生大丈夫そ?」

「あー、彼ね。」

ボーっとしてた俺に気づいた智。

「智と同い年の先生。この前朝会で倒れかけて。」

「え、がちで?」

「うん。大学で色々あったみたいで2回も留年して。今年からなの。働くの。だから疲れが溜まってるみたいで。」

こーゆー情報晒しちゃいけないけど智は口が堅いからつい言っちゃう。

「倒れるって相当よ?」

「だよね。」

「彼俺と同い年ってことは、准一と1歳差でしょ?」

「うん」

「俺内科検診まで暫く来れないと思うから、彼とお昼食べたら?」

「うん、そーね。誘ってみるわ。」

「ちゃんと食ってるかも心配だし」

「任せて。見とくから」

智って意外と熱いんだよね。

こーゆー話になると真剣に会話続けてくれるから。













「二宮先生、今日、お昼一緒にどうですか?美味しいお茶あるんで」

「じゃ、お言葉に甘えてご一緒に。」



アノ6畳の秘密基地に二宮先生を案内する。

智からの提案でテーブルも置くことになって、すっかり本物の秘密基地になった空間。

「すごい、保健室にもこんなにもこんな空間あったんですね」

なんて可愛い笑顔を見せる。


早速二宮先生はお弁当袋からご飯を取り出す。

小さいタッパーに入ったひじきのサラダとセブンのメロンパン。

「あ、これ友達が余ったからって届けてくれて。」

照れながらそう言う。

昨日、俺と智のBL疑ってた彼。

君もその友達とBL関係にあるって疑われるぞその照れ具合。

それにしてもひじきとメロンパンって少ないな。


「それで足りるんですか?」

「ひじきの栄養価高いですし、メロンパンも糖分の塊なんで、これくらい採ってれば十分動けます。」

「でも、、この前倒れたのはどーゆー事ですか?」

「…いや、アレはほんとに寝不足で笑」

バツの悪そうな顔で答える。

初めて会話するのに等しいし、責めるのはこれくらいにしとこう。

「ハイビスカスとマリーゴールドとローズヒップをブレンドしたハーブティーです。」

「わ、すごい香り」

「刺激的な酸味が特徴のハイビスカスとローズヒップが体の疲労回復をサポートしてくれて、マリーゴールドは、疲労によってデリケートになった肌を守ってくれます。二宮先生にピッタリかと。 」

「すごい笑 僕ら1歳差ですよね?」

「えぇ。」

「10歳差くらいに感じます。」

「え?笑 それって」

「いい意味で!です。笑」

笑いで空気が和む。

この人はすごい。簡単に空気を変えてしまうんだから。

ふにゃふにゃとしてる笑い方が少し智に似てて、心を許すまでにそう時間はかからなかった。



「お邪魔します」

「どーぞっ」



「せんぱーい」

「こうはーい」



「こんちわーっす」

「はいよー」



あれから毎日来てくれるようになった二宮先生。


「これネトル」

「あれですよね、ビタミンとミネラルが豊富な草」

「草って笑笑」


「准一、あけてー」

おっと、今日は内科検診の日だった。

「まって、先輩、僕、教室行かないとだ」

内科検診があったことに気がついた二宮先生。

お弁当袋もお茶もそのままにして保健室から出ていってしまった。


「ちゃんとしたとこから入ってきてよ。」

「ごめん、クセで」

「智の先輩はまだ?」

「うん、お昼食べてから来るって」

「そっか。」

「さっきの先生って、例の倒れた先生?」

「そ。」

「顔とか全然見れなかったー、残念」

「まぁ、会えるから。とりあえず準備しよっか」

「ん。」









二宮先生、あの時俺が気づいてあげてれば。

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