第7話

葉織ですけど(下)
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2018/11/10 03:40
葉織side


明日は引越しの日、だからまだこの無駄に豪華な部屋に柚子くんと二人っきり……僕にとってはこの上ない最高の状況だが、柚子くんが帰り道の時からどうもよそよそしい。

柚子くんは何か言いたげな表情で僕を見つめている、でも僕が目を合わせるとそっぽ向いてしまう柚子くんは可愛いけどもどかしい。

ゆ「あ、あの。葉織さん…」

は「はい、なんでしょうか?」

ゆ「葉織さんってす、好きな人いたんだね!」

は「はい。気付いてないかも知れませんが僕の好きな人はあな…ゆ「葉織さんが好きになる人ってやっぱり可愛いんだよね!!?めっちゃ応援するから!!頑張って!!!」

はい?

ゆ「どんな子?どんなところが好きとか…あっ、言いたくなかったらいいんだけど、聞いてみたいなーって……」

柚子くんは恋バナ好きの女子のように顔を赤く興奮させて質問攻めをしてくる。また新しい柚子くんを知ったなぁ…

は「可愛らしい人ですよ、厄介事に巻き込まれやすい体質でいつの間にかその渦中にいることが多いです、どこか抜けているけれどそういう所が好きですね」

ゆ「葉織さんはその人のことが好きなんだな。」

は「大好きですよ、その人の為なら何でもします」

ゆ「会ってみたいなぁ」


貴方なんですけどね
その日は早く寝た。明日は引越しの日だからと言って……


そして今日……
ゆ「予想以上に早く片付け終わったな」

は「柚子くんがいっぱい働いてくれましたからね」

ゆ「それにしても、今日が休校なんて運が良かったな!これで新居の家具とか買いに行けるな。」

は「今日はテンションが高いですね」

ゆ「家具とか見に行くの好きなんだよ、それにやっとこの無駄に豪華な部屋から出られるのが嬉しくて…」

は「同感です」

ゆ「ところで、あの荷物は?ダンボールに詰めなくてもいいって言ってたけど……」

は「あれは貰い物なんです、でも同じようなものが多いし、重いし、邪魔なので処分しようと思って」

ゆ「そこまで言わなくても。誰から貰ったの?」

は「両親や、昨日絡んできた真央さんからとか……色々です」

ゆ「えっ、その人たちがくれたのに捨てるの?」

は「はい、あの人たちのこと苦手ですし。」

ゆ「ひ…」

は「ひ?」

ゆ「人でなし!!!」

は「ちょ、ちょっと待って!!!」
いきなり走り出すのは反則だろ、追いかけたいけど引越し業者が来るし……
は「どうすればいいんだよーーーー!!!」

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