第13話

19,397
2022/12/01 09:53
 宝田side


 初めてあなたちゃんが来た時 ,
 ボロボロの子猫を拾うような感覚だった 。

 人間を猫に例えるのは失礼なのかも
 しれないけれど , そう強く感じたのを覚えてる 。
宝田 
  …… 私が世話を ,  
 ?
  はい 。
教育面は雄英に頼みます 。
宝田さんは常識や生活のルーティーン ,
メンタルサポート等お願いします 。
宝田 
  … 元ヴィランなんですよね ?
話や資料は一通り目を通しましたが ,
私達のことは敵として見てないんですね
 ?
  連合に洗脳されて動いて
いただけらしいです 。

自分がやることが正しい
と言い聞かせられていたんだと 。
宝田 
  …… ,  
 加害者なのか被害者なのか 。

 思うことは沢山あったけど ,
 少し後ろで斜め下を虚ろな目で見る
 あなたちゃんを見ると , その思考はかき消された











 職員の方と一通り話し ,
 私はあなたちゃんの方を向く
宝田 
  … あなたちゃん ,

私 , 宝田 。 たーかーらーだ ,
 宗瑞
  …… ,  
宝田 
  …… お話 , できるかな  ??  
 宗瑞
  … ,  
 宗瑞
  はなして , いいん … ですか  , ??  
宝田 
  , …  !!  
 ?
  …… 酷いな  
 きっと話すことすら規制されていたのだろう 。

 この子のことをまとめた資料にも ,
 連合にはペットのように扱われていたと聞いた


 酷く掠れた声で , ハイライトの入らない目で
 驚いたようにそう聞いてくる 。
宝田 
  … ,  
 )) ギュッ … ,
 宗瑞
  , …ぇ , あ …………  
 涙目になりながらも ,
 私はあなたちゃんを優しくぎゅっと抱きしめる

 あなたちゃんは驚いた様子で ,
 不思議なようにこちらを見つめてくる 。
 宗瑞
  ゎ , 私 …… 汚い , です … よ ,  
宝田 
  そんな事ない ,
あなたちゃんは汚くない , …… っ ,
 宗瑞
  で , でも …… だってみんな , …  
宝田 
  違う ,  違うよ ,

もう言いなりにならなくていいの ,
あなたちゃんはもう囚われなくて
いいの … !!
 宗瑞
  ……  !!  
 私がそう言うと , あなたちゃんは
 何かが吹っ切れたように涙を零し始める 。

 あなたちゃんを連れてきた職員は ,
 あなたちゃんの頭を撫でて部屋から出ていく 。



 私も1つ涙を零した 。











 数分経ち , あなたちゃんが泣き止んだ
 のを確認して少し腕を緩める 。

 あなたちゃんは綺麗な赤い瞳で私の目を捉える 。
宝田 
  …… あなたちゃん  ,
これからあなたちゃんと
私は家族になるの 。
 宗瑞
  , …… かぞく  ,
… わかんない , 覚えてない
宝田 
  …そっかぁ ,
じゃあ , 私と少しずつ思い出して ,
見つけていこう ??

焦んなくていいし , 急がなくていい 。
ゆっくりゆっくり , 私と一緒に 。 ( 微笑
 宗瑞
  … ,  !!
うん , …… !!
 初めて少し笑った顔を見た 。

 最初の印象はボロボロの子猫だったけど ,
 笑顔を見せた姿は子犬の方があっている 。


 私が , この子を守らなくちゃ 。


 久しぶりに人に強く情を抱いた 。

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