__バスの中, 夢を見た 。
雨の中, 何時間さ迷ったんだろう 。
足の裏からは血が滲んでジンジンと痛む。
街灯がつき始めていて,
街ゆく人が安定した速さで歩く。
ピチョ, ピチョと, 雨靴で水溜まり
を歩く音が聞こえる。
顔は見えなかったけど,
私のことを嫌な風に見ているのは分かった 。
)) ザー ……
雨と人の声がうるさくて 頭が痛くなってくる。
もうほとんど死んでいる体に指示を送り ,
近くの路地裏へと歩く 。
……あたまギンギンするの , おさまらないなあ… 。
おなかがすいた 。
ねむたいし, あたまもいたい。
なんでだろう, なんでだ。
何でこうなったんだ。
思い出せない。
嫌な記憶は全部閉じ込めてしまったようだ。
…… 嫌な記憶 ??
分からない 。
嫌な記憶も嫌じゃない記憶も ,
全部全部 黒で塗りつぶしちゃった
)) ピチャン……
私に降り掛かっていた,
涙のような雨が突然止んだ 。
反射的に顔を上げると,
一人の男の人が私に傘をさしていた。
なんて言ったのか ,聞こえなかった。
かわいそうなの ?? わたし。
だいじょうぶ …??
こわかった ,……
なんなんだ, この人は。
なんで私に構うんだ ,
なんで私に……,
冷えきったものが溶けていくかのように ,
私の口がゆっくり開く 。
_______ ,
)) ガヤガヤ…
目覚まし替わりにクラスメイトの話し声が聞こえる。
一定速度で進むバス。
久々に見た , 夢なんて。
……なんだ, あの夢… ,
1秒, 2秒 ……
時が経つ事にどんどんと夢が溶けていく 。
あれ…… , なんだっけ 。
誰がいて, … どんな場所で, どんな時に…
そう答えた時 ,不穏な空気が鼻をかすめた 。
あけましておめでとうございます
星2900有難う御座います!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。