気付くとそこは鬱蒼とした森の中だった。
記憶が混濁してる中やっと思い出した。
俺らは城の所へ戻った。
城も城下町も酷い有様で、助けを呼ぶ声が多くあった。
分かっている。
自分も人間や邪道のせいでこんな目に合った。
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この場所で確かラスカは潰された筈だ。
2人で手分けして瓦礫を退かした。すると青い髪が瓦礫の隙間から見えた。
それは、徐々に瓦礫の隙間からラスカの頭が見えてきた。
顔や体は潰れていたが、それは確かにラスカだった。
ネイビはそういうとラスカを抱き抱えてRevolutionに連れて帰った。
俺も着いていくが目の端に修道服、スカプラリオの姿を見た気がした。
違和感を感じ、振り返るとそこには何もいなかった。
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Revolutionに帰り、ラスカの簡易的な葬式をした。
俺は少し耐えられなくなり、外へ出た。
外は曇天で奥の方からは雷の音が聞こえた。
柵に寄りかかって冷たい空気を吸い込んだ。
革命は成功とは程遠い結末で終わり、ラスカも死んでしまった。
結局ルナのことも聞けず終い。
俺の心はやるせない気持ちでいっぱいだった。
ラスカの死を悲しんでか、雨がぽつぽつと降り始めた。
そして後ろのドアからネイビも外へと出てきた。
彼が差し出したのは一通の手紙だった。
それを受け取り、外見を見たが差し出しにすらも書かれていなかった。
俺は手紙を開け、中身を読んだ。
こう書かれてあった。
アデン
この手紙を読んでるということは私は君に全てを話さなかったということだ。
許して欲しい。勇気の無い私を。
強引に君をRevolutionへ誘ってしまって申し訳なかった。
私はルナと親しい仲だった。まだ世間知らずなルナと世界について沢山語った。
ルナの家は厳しいらしくてね。娯楽もあまり無い様だった。
だけど世間知らずだったルナも君のことについてはよく話していたよ。面白い子と知り合ったとね。
そして、君はこの世界を変えてくれるとまで話していた。
最初は疑ったよ。知り合っただけのはずなのに何故そこまで君に固執するのか。
だけど出逢って分かった。君のその能力はこの世界を大きく変える。
ルナは君には妹が居るとも言っていた。
私が彼女について知ってるのはそれまでだ。もし彼女を探すのならこの国について知りなさい。
この国は余りにも残酷だ。
ラスカ
冷たく降る雨の中この手紙を読む俺の手は震え、心は燃え滾った。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。