第51話

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2018/11/02 07:42
その頃、私も別れを切り出していた
街中のカフェで、放課後、神山と待ち合わせしたのだ
あなた

ごめんなさい

向き合って座る神山に頭を下げると、神山は、
神山智洋
………そっか
と呟いた
この人を、好きになれれば良かったのだろうな
でも、違う
私は重ねて謝る
あなた

ごめんなさい

ははは、と神山は笑う
神山智洋
そんな謝んないでよ。なんとなくそうかなって思ってたし………あの、あなたちゃんさ、本当は好きな人がいるんじゃない?
あなた

え?

私は驚いて顔をあげる
神山智洋
なんとなくだけど
神山は笑っているが、目は鋭く追求するようで怖い
神山智洋
最初、流星くんかなって思ったけど。キャンプの時、青木たちのこと見た時から、なんか変だなって思って。あのさ、もしかしたら、望さんのこと好きなんじゃない?
私は大きく目を見張り、瞬きもできず、神山を見つめ返した
あたしが、望を?
ずっと……自分でもごまかしてきた心の奥底の真実を、神山に見透かされ、言い当てられ、身動きも出来ない
青ざめた私の顔を見て、神山は、やっぱり、といった表情を浮かべて頭をかいた
神山智洋
あなたちゃんさ、望さんに告白してみなよ、ね?
な、なにを言い出すのだ
あなた

いや、それは……

動揺し、混乱する私に、神山は苛立った表情を浮かべる
神山智洋
あのさ!
鋭い声に、私はびくっとなった
神山智洋
このまま何もしないで、あなたちゃんは、どうしたいわけ?付き合ってる二人見て諦めるの?それになんの意味があるの?
神山は荒々しく立ち上がった
神山智洋
そんなんじゃ!俺が諦める意味わかんないよ!
そのまま怒りを抑えきれない様子で、大股で歩き去ってゆく
私はうつむいたまま、本当に、身じろぎひとつ、できずにいた

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