第65話

64
711
2018/11/04 08:45
望は廊下を走っていた
卒業式が終わってみれば、大勢の後輩の女子達に待ち伏せされていたのだ
女の子たち
待って、待ってぇ!
黄色い声をあげながら、女子達が追いかけてくる
望の制服のボタンは取れ、乱れに乱れていた
ようやく後輩達をまいて、用心しながら廊下を歩いていると、
小瀧望
あっ
私に出くわした
ずいぶんと久しぶりで、望は無言のまま、思わずじっと私を見つめた
私も目を見開いて黙っていたが、望の取れかかっているボタンに目を留めたようで、
あなた

なんか、すごいね

と言った
小瀧望
あぁ、流星もすごいけどな
あなた

………あのさ

小瀧望
なんだよ
私が何か言いかけた時
女の子たち
望先輩、いた!
再び後輩の女子達が望を見つけ、こちらに向かって走ってきた
小瀧望
やっべ
望は慌てて、また走り出す
襲いかかってくる女子達に恐怖すら覚えて、望は私を置き去りにして走り去ったが、後からこの時のことを、後悔するはめになったのだった

プリ小説オーディオドラマ