第46話

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2018/08/26 17:24
無事にロッジに戻ってきた私を、みんながほっとした様子で出迎えてくれた
バーベキューの片付けを始めたが、私は怪我をしていたので、休んでいていいことになった
私は足首に包帯を巻かれた状態で、ひとりでたき火のそばに座り、ぼんやりと、片付けをするみんなを見ていた
そこへ、流星が近づいてきた
藤井流星
足、だいじょうぶ?
私はへへっと笑う
あなた

うん、ありがとう。あたし、ドジすぎるよね

そんな私を流星はじっと見つめる
何だかとても心配してくれているようだ
藤井流星
足じゃない方は?
どういう意味?
困惑する私を、流星が、穏やかに笑いながら見ている
そこへ望が、バケツと花火を手にしてやって来た
小瀧望
ほら
と、仏頂面のまま、私に線香花火を渡す
あなた

……ありがとう

望もしゃがみこみ、なぜかふたりで線香花火をすることになった
望がたき火で花火に着火し、私がそれを移してもらう
パチパチと火が爆ぜて、手もとが明るくなる
望との距離が近い
二人で、勢いよく火花を散らす花火を見つめていると
シャッター音が聞こえた
流星が携帯で、写真を撮ったようだ
あなた

え?

流星は、うふふと笑った
藤井流星
あとで、送るよ
流星も混ざって、三人で線香花火を続けた
私は、手元の花火と、それから……すぐそばに居る望を強く意識してしまい、自分たちに向けられた視線に気づかなかった
花火を手にした神山が、呆然とこちらを見ていること
それから雪音の視線も
しかしすぐに、雪音がやって来て、
青木雪音
あたしもやりたい。ね、向こうでやろ?
と望を少し離れた場所に連れて行ってしまった
流星も遙に呼ばれていなくなったところに、今度は神山がたき火のところまで来た
私ははっとして、思わず身を硬くする
すると神山は頭を下げた
神山智洋
あ、あのさ、さっきはごめん
いや……自分の方こそ悪かったのだと思う
あなた

……あたしも、ごめんね

私も謝ったが、気まずい空気が漂った
それでも神山は明るく、
神山智洋
あなたちゃん、やろ
と、私の分の花火にまで火をつけてくれる
私は微笑んで花火をしながらも、どうしても、離れた場所にいる望と雪音の様子に、気を取られてしまっていた

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