私は、七月生まれで、流星は一ヶ月遅い八月生まれ
だから流星は私の弟ということになるのだろうか
本当に複雑だ
好きな人が、義弟になってしまうとは
この日の朝も、私があくびをしながらドアを開けると、向かいの部屋のドアも開いて、そこから流星が出て来た
流星もあくびをしながら、
と言う
私は慌てて寝癖を直す
いや、こういうことにも慣れなくてはならないのだ
リビングへ下りてゆき、スミレのお皿にご飯を入れるのも私だ
全身から幸せなオーラを放ちながら、泰弘が声をかける
流星が、
と返事をして、四人で食卓に着いた
流星は、私の隣の席だ
泰弘が感動のあまりか、目をキラキラさせて食卓を見渡す
トーストばかりだった朝食は、ご飯とお味噌汁、ジャガイモの煮物や、アスパラやニンジンの温野菜など、見た目も綺麗な栄養満点のメニューに変化した
泰弘が感動するのも当然だし、私だって、なんだか嬉しい
それから、泰弘の「せーの」に続いて、
と四人で声を揃えて、食事が始まった
流星が、
などと私に頼む
私は自分の目の前にある、三種類のソースが盛られた皿を流星に渡す
私は言われたとおりにして食べる
味噌マヨネーズが、確かに、新鮮なアスパラにぴったりだ
由香里がほっとした顔をした
泰弘は、もうどんどん、幸せそうな顔になってゆく
新しい中野家の食卓は、笑いと幸福で満ちている
スミレも、ワフッと嬉しそうに尻尾を振っている
家族かよ!とツッコミを入れたくなる気持ちと、なぜか割と自然に受け入れちゃっている気持ち……はざまで揺れる、私の乙女心なのであった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!