第3話

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2018/08/03 18:43
最初のきっかけは、学校だった
うん、ほら、よくあることでしょ?
東京で、入学した女子校がなんとなく肌に合わなくてさ
周りの騒がしさというか、女子達のノリというか、空気に馴染めない日が続いて、あーあ、完璧に出遅れちゃったなって感じだった
友達作りのスタートに微妙に失敗し……とにかく私は、入学してしばらくはひとりだった
クラスメイトが仲良しグループで、大笑いしている教室の隅っこで、ひとりでお弁当を食べたりした
家でも、ひとりきりだったようなものだ
母の真智が、新しい義父の前で、年甲斐もなく鼻にかかった声をあげて、
真智
はい、あーん
なんて食べさせ合いなんてしていた
義父
あ、あなたちゃん!あなたちゃんも一緒に食べよ!
義父が薄っぺらい笑いを浮かべて、隣の椅子を引く
義父
座ってよ、ほら
あなた

あたしは……いいや

当然、私の返事はそっけない
真智も義父も、
真智
ええ?なんで
義父
ええ?なんで
なんて驚いたような反応をするが、ふたりとも、私の冷め切った気持ちなど分からないのだ
ほんと、馬鹿馬鹿しいったら
真智は、四度目の結婚だ
つまり、私にとっては三度目の継父
なんかさ、その男、趣味悪くない?
そう思ったけど言えるはずもなく、言葉を呑み込み、私にとって、家もどんどんつまらない場所になって言った
だから、無理矢理友達作って、今まで合わない感じだったギャル系の子たちとも仲良くしていた
でも、そんな友達も、一緒にいるうちに遠慮がなくなってきて、ある日喧嘩
その翌日から、私は徹底的に無視された
つまり、ハブられ、孤立した
学校なんて行きたくない
部屋に閉じこもってたら、さすがに真智は娘の異変に気づいたようだった
真智
あなたちゃーん。どうしたのぉ?失恋でもしたぁ?
しつこいノック音と、ドア越しに聞こえる母の甘ったるくてわざとらしい声を、私は耳を塞いで遮った
すると、そんな私を心配したのか、持て余したのか……とにかく母は、北海道に住む私の実父に連絡し、SOSを出したというわけだ
泰弘は、二つの返事で
泰弘
北海道に来い!
と言ってくれた
そんなこんなで、私は、北海道に『逃げて』きたのだった

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