第5話

登校
441
2019/02/23 13:33
栗原 瞳
ねっむ...
朝。

私は、あくびをしながら家の玄関から外に出る。






ガチャ...






谷崎 桜
あっ!おっはよー!瞳!








ガチャン







何故か私は、とっさにドアを閉めた。
栗原 瞳
み、見間違いかな...?
私はそう思い、再びドアを開ける。






ガチャ...





谷崎 桜
瞳ー?







ガチャン







ドアを閉める。
栗原 瞳
見間違いじゃなかった...
え?な、何でいるの?

家はこの前教えたから知ってるハズだけど
何で学校行く前に来たの...?


...と、とりあえず出よう。








ガチャ...






谷崎 桜
瞳ー!何で閉めちゃうのー?
間違いなく、桜だ。
栗原 瞳
あ、えっと、夢かなぁ、と思って...
すると、桜が急にお腹を抱えて笑い出した。
栗原 瞳
???
谷崎 桜
あはは!いやー、瞳って何か面白い。
栗原 瞳
な、何か...?
谷崎 桜
うん。何か。
私は、その言葉に吹き出した。
栗原 瞳
あはは!何かって何だよー。
すると、桜が目を丸くして驚いた。
栗原 瞳
え?どうしt...
谷崎 桜
笑った!!
....え?
谷崎 桜
瞳が私の前で初めて笑った!
栗原 瞳
そうだっけ...?
谷崎 桜
そうだよー!
谷崎 桜
ちょっとー!めちゃくちゃ可愛い
んですけどー!
谷崎 桜
妬いちゃうよー!
栗原 瞳
や、妬いちゃう...?
谷崎 桜
妬いちゃう。
桜は手を組み「うんうん」と頷く。
谷崎 桜
ま、それは置いといて!
置いとくんだ...
谷崎 桜
学校、行こ!
桜はそう言って私の腕を引っ張る。
栗原 瞳
え、ちょ、
谷崎 桜
一緒に登校したいなーって
思ってたんだ。
谷崎 桜
だから嬉しい!
桜は満面の笑みを私に見せた。


一緒に登校したくて、わざわざ私の家まで
来てくれたんだ。






何か、親友って感じだな。









私も、嬉しいよ。桜 ─────────────────




























クラスメイト
ねぇ、あの写真って...
クラスメイト
うん。永野さんだよね。
クラスメイト
っていうか、メイドカフェって...
クラスメイト
まじ笑えるんだけど。
クラスメイト
ねー。
黒板に貼ってある写真を見たクラスメイトは
口々に永野百合の悪口を吐いた。
斎藤 春美
おっはよー!
──────やっと、1軍のお出ましだ。
廣中 円香
あれ?何か空気、冷たくない?
斎藤 春美
んー?あ、確かにー。
きょとんとしている二人に、女王が話しかける。
女王
ほら。あれ。
斎藤 春美
...え?まじ?
廣中 円香
百合...
永野 百合
ん?私がどうしたの?
永野百合はそう言いながら皆の視線の先を追う。
永野 百合
え...
永野百合は、手に持っていたスクールバックを
「すとん」と肩から落とした。
永野 百合
どうして...
すると、永野百合を抜く1軍たちが朝の支度を
し始めた。
女王
あ、言い忘れてたけど...
女王
百合。もう金輪際こんりんざい私たちに
近づかないで。
永野 百合
え...
斎藤 春美
いやぁ、メイドカフェとか
有り得ないっしょ。
廣中 円香
そんな奴と一緒にいたなんて
まじで鳥肌立つわー。
クラスがざわつく。
永野 百合
そん..な...
“こぼれ落ちた顔”とは、こういう顔のことなんだ
と思った。

全身から希望が抜け出したような、そんな顔。























まずは一人。






さよなら。1軍 永野百合。

















恨まないでね。


とは思わないよ。




















まあ、私を恨んでも“無駄”だけど。

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