第2話

開始
535
2019/02/13 14:45
伏見 由希
お、美味しいね!
栗原 瞳
うん。
私たちは今、ドーナツ屋に来ている。
栗原 瞳
...ていうか、何でドーナツ屋?
今日は、女王を倒す第1回作戦会議をする。

けど、何故かドーナツ屋に行きたいと伏見さんが
言った。


伏見さんは4軍。

いつも自分の意見は言わずに1軍2軍の言いなりだ。

そんな伏見さんが自分の意見を3軍のまあまあ
良い位置にいる私に言ったのだ。

よっぽどの理由があるハズだ。
伏見 由希
潮目先生と桐島先生に、無料チケット
貰ったから...
保健室の女教師、潮目渚しおめなぎさ 先生と
理科の男教師、桐島和人きりしまかずと 先生が...?


潮目先生は、いつも優しくて面白い。おまけに
可愛い。

桐島先生は、いつも元気で親しみ安く、そこらの
女子がイケメンと騒いでいる。


そんな先生たちが、伏見さんに無料チケットを...?
栗原 瞳
仲、良いの?
伏見 由希
え?うん。まぁ、他の生徒よりは?
どんな接点が...
伏見 由希
4軍の私に、優しくしてくれるんだ。
“4軍”の伏見さんに?
栗原 瞳
この学校に、スクールカーストが
あることを知ってるの?
伏見 由希
そうだよ...?
おかしい。


普通、教師はカースト制度を認めない。

だから見付けたら即説教だ。


なのに、まだ先生たちはカースト制度に
触れてない。

というか、バレてない。


だから、おかしいのだ。


何故、あの二人の教師は動かない?

普通は気付いた時から動いて生徒を助けようと
する。


もちろん、それは《偽善》だけど。


所詮、教師は偽善の塊だ。



もしかしてあの先生たちは、《偽善者》じゃない?


どの先生よりも、生徒と先生の境界線を分かって
いる?
栗原 瞳
本物の、先生...
伏見 由希
でしょ?私もそう思う。
伏見さんは楽しそうに笑った。

...伏見さんって、こんな顔もできるんだ。
伏見 由希
あ、そういえば今日は作戦会議の
日だったね...
栗原 瞳
あぁ、確かに。
他の話に気を取られ過ぎた。
伏見 由希
何か、案とかある...?
案、か...
栗原 瞳
取り敢えず、1軍を追跡してみる?
伏見 由希
追跡...?
栗原 瞳
うん。何か収穫があるかも。
伏見 由希
そうだね。しよう。追跡。
栗原 瞳
うん。
よし。決定だ。





絶対に、成功させよう──────────────────
































クラスメイト
きゃはは!
クラスメイト
4軍ごときがなめてんじゃねぇぞ!
お腹に、痛みを感じた。

...蹴られた。
クラスメイト
何お腹抱えてんのよー。
クラスメイト
そんなに痛かった?
クラスメイトは嘲笑う。

私を蹴りながら。
栗原 瞳
っ...
スクールカーストって、残酷だよね。

4軍なんて、ほら...
クラスメイト
お水をかけて~?
クラスメイト
ばしゃーん!
水が入ったバケツを頭の上でひっくり返されたって
何も言えない。

髪が水でベタベタする。制服もしわくちゃだ。
クラスメイト
あー、面白い!
クラスメイト
じゃーね!栗原!
クラスメイト
その水、拭いといて~!
何で?何で、あんたらがばらまいた水を私が
片付けなきゃいけないの?
栗原 瞳
...意味分かんない。
クラスメイトが去った教室で独り、不満を呟いた。
栗原 瞳
どうして私が...
本当は、この不満の続きも言うつもりだった。

誰も、いないから。


けど、この先を言っちゃいけない気がした。







この先を言ったらきっと、私は...






















泣いてしまうから。

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