第6話

笑顔
399
2019/02/26 14:33
永野百合が4軍に落ちて、一週間が経った。


クラスは平和、というわけにもいかず。
斎藤 春美
あはは!ざまーみろ!
廣中 円香
わっ。くっさ。
伏見 由希
...
あんたらがやったくせに。

人の頭の上でゴミ箱をひっくり返すの、そんな
楽しい?
斎藤 春美
じゃあね!今日はここまでに
してあげる!
廣中 円香
また明日、遊ぼ?
廣中円香は醜い笑顔を浮かべた。

そして、教室から去っていった。


それと同時に、止まっていたクラスの時間が
動き出す。


まるで、何もなかったかのように。
クラスメイト
あー、今日あそぼー!
クラスメイト
いいよー!どこ行くー?
勿論、私も無視をする。

「落ちたくないから。」

それは全員共通の理由。


だから、伏見さんの味方は誰もいない。
栗原 瞳
ゴミ箱、どうすんの?
けど、味方になれと言われてなったんだ。

少しは気にかける。
伏見 由希
あー、うん。一人で片付けるから!
伏見 由希
ごめんね!今日は追跡できないや。
伏見さんは笑った。

心から、笑っているような。


本当は辛いはずなのに。


笑顔が完璧だ。



何もなかった、今までのは見間違い。

そう、思わせるほどだった。
栗原 瞳
...
伏見 由希
ん?どうしたの?
また、笑った。

気持ち悪いほど完璧だ。
栗原 瞳
じゃ、明日追跡しよ。
私はそれだけ言って、教室を出た。


















昇降口に向かう途中、潮目先生と桐島先生に
ばったり会った。
潮目 先生
あ、栗原さん!さようなら!
桐島 先生
さよーならー。
栗原 瞳
さよなら...
それだけ会話を交わし、お互いに通り過ぎる。


──────あれ?そういえば...
栗原 瞳
せ、先生!待ってください!
二人が驚いたような顔で振り返る。
潮目 先生
ん?どうしたの?
潮目先生が笑顔で私に向き合う。

桐島先生も、潮目先生につられるように向き合う。
栗原 瞳
あの...
言葉が詰まる。


私、馬鹿だ。

自分から話しかけたのに、言葉を選びきって
いなかった。


数秒間、妙な空気が漂う中で潮目先生と桐島先生は
しっかりと私に向き合って、言葉を待って
くれている。
栗原 瞳
ふ、伏見さん、教室にいます!
栗原 瞳
それだけなんで!
私はそれだけ言って、昇降口に走り出した。

























伏見さんとあの先生たちは、仲が良い。


きっと、ゴミ箱を片付けるの手伝ってくれる。




私に勇気はないけれど、これくらいはしないと。

























───────あれ?





私は何でこんなことしてるんだろう。




いつもの私ならしないのに。










何か、おかしいのかな...

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