私は、百瀬山学院に通う高校2年の藍沢梨加(あいざわりか)。
大人しく目立たないがそこそこモテるほうだ。
スクールカーストで言ったら真ん中らへん。
勉強もそこそこ。
中の中って言うところかな。
〝普通〟
それが私の悩みだった。
(この学校は普通じゃないけど)
そう。私の通う学校はー
普通じゃない。
そして私の悲劇は起こった
あの日から。
「きゃっ!」
「あーら、安田さぁーんなんで学校来てるのぉ?」
鮫島真梨奈(さめじままりな)が安田実帆(やすだみほ)を突き飛ばした。
「しばらく学校来ないから死んだかと思ったのにぃー」
鮫島さんが、そう言うとみんな
「そ…そうだよ!なんで生きてんだよ」
そこで悲劇は起こった。
「や、やめようよ!」
自然に口が開いた。
私は〝普通でいること〟が耐えられなかったのかもしれない。
何か…変わりたかったのかもしれない。
「……はぁ?」
「こ、こんなこと間違ってる!」
私がそう言うとクラスのみんなからの視線が私に向けられる。
「何?ヒロインぶってるつもり?明日から悲劇のヒロインにしてやるよ!!」
私はもう後に引けなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。