「っ…理央っ!!」
私は強く腕を握られ、とっさに名前を呼んだ。
「痛い。離して…」
私がそう言うと慌てて手を離した。
「あ、…ごめん。」
「ううん。…ありがと。」
私がそう言うと理央は私を抱きしめた。
「…え…理央?」
私は驚いた。
「…離して?」
「…離すかよ。梨加は俺が守るから。優しすぎなんだよ梨加は。」
私はそっと理央から離れ、
「ありがとう…でも私なら平気だよ。」
私がそう言うと理央は呆れたように笑う。
「っ…ばーか。梨加のそういう所が好きなんだった。」
「え…?すき?」
「あ、いや…なんでもない。」
「え、なーに!」
「だからなんでもないって…!」
理央といるとどんなに辛いことも忘れられたー
この場を彼女に見られてるとは知らずに。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。