第9話

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2026/03/04 15:56 更新
廉はとっくに学秀を許している。

なぜなら____

あの夜、学秀が「逃げろ」と言ったから。

あの一言がなければ、廉は完成実験にかけられていた。

だから廉にとって学秀は「加担者」じゃなく、
「共犯者」でもない、“救命者”である。
でも学秀は自分を許していない。

廉を見て見ぬふりをしたこと。

自身の父に逆らえなかったこと。

強くなろうとした結果、誰かが壊れたこと。

だから廉と目を合わせない。
廉の目的として、殺せんせーをどうするかとは
別に、もう一つの目的がある。
_櫟葵 廉@くすのき れん_
櫟葵 廉くすのき れん
学秀を、あの研究の呪縛から解く。
救うっていうのは甘やかすことじゃない。

本気でぶつかること。
 
再開後の空気感は...
廊下ですれ違う。
_浅野 学秀@あさの がくしゅう_
浅野 学秀あさの がくしゅう
お前は、まだ甘い...
_櫟葵 廉@くすのき れん_
櫟葵 廉くすのき れん
お前はまだ縛られてる。
短い会話、でも全部分かってる。
 


三学期の期末試験前日
今回、理事長がクラス責任者を担当する事になり、
学秀は担当から下ろされた。
学秀は、放課後、屋上にいた。
風が強い。

学秀はいつものように景色を見ている。

足音がするが、振り返らない。
_浅野 学秀@あさの がくしゅう_
浅野 学秀あさの がくしゅう
何の用だ。
廉は数歩離れた場所で止まる。

沈黙。

そして、初めて感情を混ぜた声____
_櫟葵 廉@くすのき れん_
櫟葵 廉くすのき れん
お前、まだあの夜にいるのか?
学秀の指先がわずかに止まる。
_浅野 学秀@あさの がくしゅう_
浅野 学秀あさの がくしゅう
意味が分からないな。
廉は一歩近づく。
_櫟葵 廉@くすのき れん_
櫟葵 廉くすのき れん
逃げろって言ったの、お前だ。
風が強く吹く。
_櫟葵 廉@くすのき れん_
櫟葵 廉くすのき れん
俺は、とっくに許してる。
学秀の眉がわずかに動く。
_浅野 学秀@あさの がくしゅう_
浅野 学秀あさの がくしゅう
許す?何をだ...
廉の声が低くなる。
_櫟葵 廉@くすのき れん_
櫟葵 廉くすのき れん
俺を実験体にしたことじゃない、
止めなかったことでもない、
お前が自分を責め続けてることだ。
沈黙。
_浅野 学秀@あさの がくしゅう_
浅野 学秀あさの がくしゅう
俺は、選ばなかった
_櫟葵 廉@くすのき れん_
櫟葵 廉くすのき れん
違う。
廉が即答する
_櫟葵 廉@くすのき れん_
櫟葵 廉くすのき れん
お前は選んだ、俺を生かす方を。
学秀が初めて廉を見る。

強い目、でも揺れている。

廉はさらに踏み込む。
_櫟葵 廉@くすのき れん_
櫟葵 廉くすのき れん
強さってのはな、
壊れないことじゃない。
選び直せることだ。
一瞬、触手がわずかに揺れる。

でも展開しない、完全に制御している。
_櫟葵 廉@くすのき れん_
櫟葵 廉くすのき れん
俺は前に進んでる、
お前だけが立ち止まってる。
俺を理由にすんな。
その言葉は鋭い、でも優しい。
_浅野 学秀@あさの がくしゅう_
浅野 学秀あさの がくしゅう
俺を、……救うつもりか
廉は少しだけ笑う。
_櫟葵 廉@くすのき れん_
櫟葵 廉くすのき れん
対等だろ、昔も今も。
長い沈黙。

風が止む。

学秀が小さく息を吐く。
_浅野 学秀@あさの がくしゅう_
浅野 学秀あさの がくしゅう
甘いな。
_櫟葵 廉@くすのき れん_
櫟葵 廉くすのき れん
しってる。
でも、目は穏やかだった。
 
ねくすと

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