ガチャ
屋上のドアが開く重い音。
振り向かなくても分かる存在感。
理事長、浅野學峯__________
冷たい声。
学秀の背筋が一瞬だけ固まる。
____昔なら、ここで黙った。
理事長は続ける。
視線が廉に向く。
廉は何も言わない。
今日は学秀の場だ。
沈黙、風が吹く。
そして__________
声は震えていない。
理事長の目が細まる。
学秀は一歩前に出て、廉の前に立つ形になる。
理事長の眉がわずかに動く。
廉が静かに息を吐く。
その言葉は、あの夜の答えだった。
そして____
学秀が初めて父を真正面から見る。
長い沈黙。
理事長の表情は読めない。
だがわずかに、ほんのわずかに、口角が上がる。
それは賞賛か、試験か分からない。
理事長は背を向ける。
理事長が屋上を去り、扉が閉まる。
静寂。
学秀の拳がほどける。
廉が横に並ぶ。
ねくすと















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!