私が五条先生の夢を叶えたいと言って、昨晩の特級2体の襲撃から、怪我も回復したところで、今日の朝急に彼が私にでかけるよ!とひとことだけなのに訪ねてきて、久しぶりの休暇のはずなのに早朝から大急ぎで支度せねばならない事になり、何をするんですかと回らない頭で必死に聞くと、
______呆れた。かもしれない。
その事だけのためにいきなり早く起こされ休暇だったはずの日を消された私の気持ちを考えてほしい。
とまぁ、こんな感じでいろいろあって、今に至る。
京都校………私は去年、一昨年と交流会には参加できていない。いろいろと任務を上から直々に任されることが多かった故に今年が初めてとなる。つまり、ここへ来るのも初めてだし、楽巌寺嘉伸と会うのも初めてなのだ。
ガラッと扉を開けると座っていたのは楽巌寺嘉伸、そしてお付のよつに姿勢よく立っているのは京都校の生徒だろうか。
楽巌寺学長の目の前にドカっと座ると
こっちへ来いと手招きをされる。
緊張で少し硬くなりながら
彼の隣に座る。
先程突っ立っていた少女がいう。
この髪色、そういえば京都校の三輪霞ちゃんだったか………?
チラッとこちらを見た。
どうやら今が言う時のようだ。
もう、死んでしまう人の目の前で、
情けない姿は見せたくない。
呪霊を祓う、この気持ちは変わらない。
けど、今までの私は殺すことしか考えてなかったんだ。それってきっと、ただの殺人鬼と同じなんだ。
相手が呪霊であっても、殺すことしか考えていないのと、呪霊によって犠牲となった人達の死を背負って殺すのとでは意味が全く違う。
同情でも可哀想とでも思っている訳じゃない。
同情とか可哀想とか言ってるのはそれは他人事だと思っているから言えるんだ。
悠仁は違う。
彼は同情も可哀想とも思わない。
ただ、目の前にある死を少しでも救えるのなら、残された人達の気持ちも救われるのならと、少年院のとき、遺体を遺族へ返そうとしていたと聞かされた。
私も、もう間違えない。
残されたこの命と、呪術師という人を守ることができるこの人生を、私が私らしくいられるように選んだんだ。
あの時、そう誓ったんだから。
私の背中を押すようにして去ると、
後ろから聞こえる程の楽巌寺学長のため息が聞こえてきた。
190cmの巨体が私の肩に腕をまわして
体重を任せてきた。
今日気疲れするはめになったのは
根本的な理由として彼のせいだ。
いったん離れて思いっきり脇腹をなぐろうと拳を振るうも、見えない壁によって阻まれる。
キャッキャと今時の普通の女子高生みたいにはしゃぐ。本当に呪術師にしては珍しい本当に普通で良い子すぎた。
顔をパァァァァっと明るくさせる。
楽巌寺学長のいた方へと嵐のように戻っていった。
今この世界で普通に過ごしている非呪術師達の時間も、もちろん後輩達のあの笑顔も、守るためにはもっと強くならなければならないと、より一層感じた。
その為には、もっと彼自身の強さを実感しなければならない。
こうして、
およそ1ヶ月間に及ぶ彼と悠仁との特訓がこれからまた始まろうとしている___
そして、1ヶ月後、某日
もうそろそろストレスの限界で死ぬのでは…?と思う様になってきた。
さっきまで気分は上昇してたのに、一気に氷河期入ったんじゃないかぐらいの勢いで下がった。
そして私は悠仁と別れ、2人共が重い任務を任せられることになった。
正直、不安しか感じないが
また新たな経験を積む為に、強くなるために、守るために祓う、そう思った。
まだこの時までは。
この時の2人にはまだ、
"呪い"とは何たるかをはっきりとは理解していなかった_____.
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それと!
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ありがとうございます😭😭😭
感謝の言葉でいっぱいです。
年末年始で更新遅くなりましたが、
引き続きよろしくお願いします!!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。